2020年8月21日
【政府与野党協議会】「残念ながら安倍政権の今のコロナ対策は、目づまりを起こし始めている」と逢坂政調会長
政府・与野党は21日午前、新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会の第17回目の会合を国会内で開催。立憲民主党から逢坂誠二政務調査会長が出席しました。
今回の会議では医療機関への経営支援が大きなテーマとなり意見交換が行われ、これまで政府から明確な話はありませんでしたが、今回は幅広に検討中との話がありました。
今回協議を求めた件については、
(1)緊急包括支援交付金については、厚生労働省から各都道府県に交付決定がしているものの、対応が十分でない県があることを指摘。またPCR検査機器などを購入したい自治体が大きことから、厚労省と業界が連携し供給できる体制を構築するよう、与野党で共に求めました。
(2)緊急包括支援交付金と地方創生臨時交付金の増額については、いまの執行状況を踏まえて検討したいとの回答がありました。あらかじめ増額が見込めれば自治体の対応も変わるので、引き続き要請していくことになりました。
(3)インフルエンザワクチンの確保については、昨年確保した2,900万本を上回る水準で確保したいが、具体的な数字について現段階では言えないとの回答がありました。また、発熱患者が出た場合に、インフルエンザとコロナを区別するなどの対応方針を明確にしてほしいとの要請には、専門家の意見を聞いて対応したいとの回答がありました。
(4)9月30日までとなっている雇用調整助成金の期限延長については、前回8月4日の協議会で要請し、期限のひと月前ぐらいまでには方針を決めたいとの話でしたが、現在もまだ方針が決まっておらず、政府からは早急に検討しているとの回答がありました。
(5)小中高で順次再開されている対面授業が、大学では再開されていないところが少なからずあり、特に大学1年生は、入学した雰囲気も味わえず、一人暮らしの学生は自宅に引きこもりがちで、心理的にも相当不安定になっているケースがあると指摘。文科省からは、そうしたことも含め今月中に調査を行ったうえで、ケアの検討をしていくとの回答がありました。
(6)新型コロナウイルス感染症に関する、いじめや営業妨害など誹謗中傷については、内閣官房審議官から、来週にも政府の分科会の下にワーキングチームを設置する方向で人選も含めて準備をしているとの回答がありました。
(7)自治体の来年度の財源については、総務省からしっかり確保するように対応したいとの話がありました。
(8)国会の開会については、西村内閣官房副長官から与党とも相談をするといった話がありました。
会議終了後、共同会派と共産の出席者が記者団の取材に応じ、今回の会議の受け止めを次のように答えました(要旨・発言順)。
■国民民主党・泉健太政調会長
医療従事者への慰労金の交付が今月から始まることや、PCR検査の目づまりについての話になり、厚労省から繰り返し答弁があるものの、積極的な方向性や実現しようという意志があまり感じられない。
行政検査がひっ迫している状況に対しても特段の支援があるわけでもなく、民間での検査をわれわれは求めているが、その機器の整備も含めやはり意欲を感じられず、民間任せという姿勢が今回も繰り返された。
雇用調整助成金の期間延長についても、延長する方向になったかと思えば、それも今日は早急に結論を出しますという言い方に留まった。そういうことも含めて、国民を安心させるという強い熱意を持って、施策を実施していただきたい。
■日本共産党・田村智子政策委員長
GDPがマイナス27%という状況の下で感染症の対策をどう行い、同時に経済をどうしていくのか、大きな方向性を政府がまったく示していないのは異常な事態。その問題を提起し国会開会を改めて求めた。
経済を止めず、少しでも上向きにしていくことを考えれば、やはりきょう議論になった検査と医療は大前提の問題。どこまで検査可能な数を引き上げるのか、機器購入等はどうするのかという細かいところまで議論になったが、厚労省は何ら具体的な回答も示せない状況であり、これはとても深刻なものがあると感じている。
また、急いで医療機関への減収補填の方向性を示し、何としても具体化しなければならないと考える。
■社会民主党・吉川元政審会長
新型コロナウイルス感染症専用の感染症病棟の設置(今回協議を求めた項目2)に対して、支援対象となると厚労省から返答があった。
PCR検査の機器について、厚労省は需要と供給の関係で考えているが、検査対象がこれから拡大していった場合、一気に需要が増えるので、現状の需要と供給をだけを見ていては不十分。これは与野党ともに同じような考え方を持っているので、引き続き要望していきたい。
■社会保障を立て直す国民会議・重徳和彦政調会長
1時間程度協議したが、論点がたくさんあるなか、絞っても1時間では十分な回答を得られていない。
細かいことを含めて各委員会で質疑する場がなければ、一つひとつの課題が解決できず、厚労省の見解もまとまらない。結果的に、進めなければならない施策も進んでいかない。今日のPCR検査機器の調達についての答えも非常に曖昧であり、PCR検査の自由診療についても、本当は詰めていきたかった。
国会を閉じた後に感染者もどんどん増えており、何ら打つ手がないような状況が続いている。そういう意味でも野党の役割は非常に重要であり、国会の役割は重要だと改めて感じた。
■逢坂政調会長
病院への経営支援、雇用調整助成金の延長、検査体制の強化、こうした点は与党も野党もほぼ同じような考えを持っていることが改めて確認できた。しかし、こうして与党も野党も揃って同じ要請をしているにもかかわらず、政府の対応・対策が十分に進んでいない。残念ながら安倍政権の今のコロナ対策は、完全に目づまりを起こし始めていると言わざるを得ないと、改めて思っている。
記者から、医療機関についての現状認識と、どのような支援が足りていないかと問われた逢坂政調会長は、政府から冒頭、5月時点で医療機関は15%減収、コロナ患者を受け入れたところは17%以上の減収だが、6月には改善されているといった話があったと語り、平均で見ればそうだが、個別の医療機関を見ると相当に経営が厳しい状況があるとの認識を示し、「コロナ患者を受け入れる受け入れないにかかわらず、医療機関への支援を明確にしなければ、今後コロナ患者を受け入れる医療機関も出てこなくなる」と指摘。そうした考えのもと医療機関への支援を早急に検討すべきだと主張したと説明しました。
また、政府が空床確保のため1日あたり30万円補助するなどの話に終始していたところ、与党からも「そうじゃないだろう。医療機関に対して、やはりしっかり支援をすることを検討しているのではないのか」という念押しがあり、その上で政府から全体について幅広に支援を検討していますという話になったと説明しました。
新型コロナウイルス対策等に関する要望事項
2020年8月21日
共同会派 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム【今回協議を求める件】
(1)医療機関等の経営支援について検討状況を明らかにし、速やかに支援を実施すること。
(2)十分な医療体制を確保するため、新型コロナウイルス感染症専用の伝染性感染症病棟の設置を支援すること。
(3)新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金及び新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額を行うこと。
(4)インフルエンザワクチンを十分に確保し、接種に関する啓発を行うとともに、接種については希望する全ての人が無償で受けられるようにすること。
(5)雇用調整助成金は、4月1日からの特例措置を、現行9月30日までから当面12月31日まで期間延長すること。企業の規模を問わず、減収が著しい事業者については、助成率を10/10とすること。また、雇用調整助成金など各種給付金・補助金等の申請期限を延長すること。
(6)小中高は順次再開されている一方で、対面授業が再開されず学校に通えていない大学生、特に新入生の現状調査を行い、不安解消などの対策を講ずること。
(7)いじめや営業妨害など、新型コロナウイルス感染症に関するあらゆる誹謗中傷についての対策を徹底すること。
(8)自治体の運営に必要な地方交付金はもとより公共投資をはじめとする来年度の財源を確実に確保すること。
(9)新型コロナウイルス対策やその検証、新たな経済対策、予備費の執行、法改正等のため、速やかに国会を開催すること。【継続的に協議を求める件】
(1)感染拡大防止に向けた政府の見解(検査・医療体制、対応を求める際の客観的基準、緊急事態宣言の発令要件など)を早急かつ明確に示すこと。
(2)医師が必要と判断する者全員がPCR検査又は抗原検査を受けられるよう、検査実施機関・実施者の拡大を行うこと。また、医療・介護・福祉・保育従事者・学校の教師などのエッセンシャルワーカーに、月2回の定期検査を公費で行うこと。
(3)感染拡大防止にさらに万全を期するとともに、陽性者が必要な医療等を受けられるよう体制を整えること。感染状況や医療体制などの現状について国民に正確に情報を開示すること。
(4)新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、簡便な手続きで速やかに給付するとともに、対象をすべての企業とし、雇用形態を問わずすべての労働者に対して支給すること。また、失業給付の上限額を遡って休業支援金・給付金と同程度に引き上げること。
(5)収入が大幅に減少しているにもかかわらず、支援が十分でない個人・企業への追加対策を検討すること。(休業手当が受けられない学生バイト、融資が受けられない企業等)
(6)介護報酬・診療報酬等の特例の自己負担増分を公費負担すること。
(7)GoToキャンペーンについては、全国一律の実施を見直し、地域の実情に応じた支援策とすること。
(8)災害時の感染拡大防止策を徹底すること。特に、現地に赴くボランティアや派遣行政職員等に対する検査の実施などについて、政府の方針を明らかにすること。
(9)休業要請を行う場合には補償もセットにすることをはじめ、新型インフルエンザ特措法改正に関する政府の考え方を早急に明らかにすること。
(10)持続化給付金・家賃支援給付金の対象者及び内容の拡大をすること。
(11)小学校休業等対応助成金の活用を促進するため、個人申請方式を導入すること。少なくとも既に取得した休暇に対する支給については個人申請方式とすること。
(12)専任の広報官の設置を改めて政府に強く求める。
(13)就労支援施設を利用する障がい者の工賃の減少に対する支援を行うこと。