2020年3月23日
枝野幸男が答える、これからの新型コロナウイルス対策とは 3月17日 #立憲LIVE ダイジェスト
新型コロナウイルスの世界的な流行を受けて、世界保健機関(WHO)が「パンデミック」を宣言した。日本でも感染拡大防止が喫緊の課題となる中、3月14日には新型コロナ特別措置法が施行されたが、「緊急事態宣言」も含むことから不安の声もあがっている。
感染という一次的な被害だけでなく、二次的、三次的な被害へと状況は深刻化している。安倍総理による一斉休校の要請以降、子育て家庭、保育や学校教育の現場では混乱と疲弊が広がり、経済についてもイベントの中止をはじめとする問題が多数起きている。非正規労働者やフリーランス、アーティストの中には生活が立ち行かなくなる人も出ている。さらに入国制限による観光業への打撃は深刻だ。
3月17日には、「新型コロナウイルス対策政府・与野党連絡協議会」が国会内で発足した。東日本大震災時の対応にならい、政府が拾いきれていない情報を野党が伝え、党派を超えてより良い経済対策や拡大防止策をつくっていく。
9年前の震災時、官房長官として危機管理にあたった枝野幸男立憲民主党代表が考える、「これからの新型コロナウイルス対策」はどうあるべきか?立憲LIVEで語ってもらった。
新型コロナウイルス特措法、なんで立憲民主党は賛成したの?
3月14日、新型コロナウイルスを従来の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」の対象に加える改正法が施行された。この改正案に立憲民主党も賛成したが、内閣総理大臣「緊急事態宣言」を行えることから、私権が不当に制限されるのではないかと国民の不安が高まっている。
今回の立憲LIVEでも、「緊急事態宣言」に関わる不安の声が枝野代表に投げかけられた。
枝野「緊急事態という言葉が一人歩きしているように思います。総理が何でもできちゃう、戒厳令のようなものを想像されることもありますが、強制権限は非常に少ないです」
枝野代表によると、2011年3月11日から現在まで、原子力災害対策特措法にもとづいた「原子力緊急事態宣言」が継続しているが、今回の特措法による強制権限は、それに比べても弱いという。たとえば罰則付きで強制できるのは、医薬品などの保管・収用や、臨時医療施設設置のための土地収用に関わる命令・立ち入り検査に違反した場合のみ。収用の対象も医薬品などか、臨時医療施設設置のための土地に限られる。
今回問題となっている「緊急事態宣言」は、自民党の憲法改正草案に見られる「緊急事態条項」とは内容も性質も全く異なるものだと説明した。
枝野「(自民党改憲草案よる「緊急事態条項」は、)国会を無視して新しい法律みたいなものを作れるなど、とんでもないものです。「緊急事態宣言」というと仰々しいけれど、同じような言葉でも全然意味が違います。個人の権利を不当に制約できるものではありません。安心してほしい」
▼新型コロナウイルス特措法について枝野代表のツイート
https://twitter.com/edanoyukio0531/status/1236875820758487040
3.11時の官房長官・枝野が語る、いま必要な情報発信
感染状況や防止対策の最新情報は、どこで得られるのか。安倍総理の会見は具体的な情報が乏しく、時間も短いので記者の質問が終わる前に切り上げられてしまう。東日本大震災という緊急事態下で、当時官房長官だった枝野代表は、現政権の情報発信をどう評価するのか。
枝野「政府全体として、最終的に誰か一人が常に発信し続けていかないといけません。見たことのない、毎回違う官僚が出てきても、安心は得られません。3.11の時はわたしに一元化していました。
今回の新型コロナウイルス対策でも、政府の情報発信窓口を決めた方がいい。できれば官房長官が毎日、定例会見とは別枠で会見をすべきです。たとえば、きょう一日で全国で何人の新たな感染者が出たとか、医療体制の整備がここまで進みましたとか。それを党首会談で伝えましたが、残念ながらそうなっていません」
これからの対策は、「一日も早い、きめ細かい救済スキーム」
政府は3月10日、「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第2弾)」を発表した。一斉休校で仕事を休まざるをえない保護者への支援や、雇用維持のための企業支援として「雇用調整助成金」の支給要件の緩和などが盛り込まれた。それでも、支援の範囲はまだ狭い。枝野代表が訴えた、これからやるべき新型コロナウイルス対策は「一日も早く、きめ細かい救済スキームを!」
枝野「現時点での給付金は(対象が)非常に狭い。一斉休校により仕事を休まざるをえなくなった親御さんたちなどに限定されています。イベント中止によって仕事がなくなったアーティストや観光バスの運転手などいろんな分野で影響が出ています。そもそも政府が一斉休校やイベント開催自粛を求めたり、入国制限をしたりしたから起きた損失なのだから、補償しないといけません。このことは強く求めていきたい」
たとえばフリーランスや非正規労働者にとって、住民税の納付はさし迫った問題だ。
枝野「希望者には住民税を最大限、1年間猶予できるようにしたいです。住民税は去年の収入に対してかかるので、たとえ今年の1月から3月に収入がなくても、去年の収入に合わせて払わなきゃいけない。今年最初の納期は、6月にも来てしまいます。免除するかどうかは審査が必要だと思いますが、とにかく希望したら最大限、1年猶予するよう求める。そして来年、通常の経済活動ができる状況なら払ってもらう」
多方面から聞こえる消費税減税を求める声に対しては、今すべきは目の前の倒産や収入減を救済するための納税猶予や損失補償だ、と説明。消費税減税を議論するのは、その後だと話した。
枝野「(新型コロナウイルス感染拡大による経済停滞への対応には)2つの要素があります。目の前で倒産しそう、収入が減っていることへの対応と、世界的な株安で中期的に冷え込む世界経済への対応です。今まさに倒産寸前の会社や、生活費がなくて生活保護寸前という人たちが日本中にたくさんいます。そういう方々にとって、倒産してしまってから消費税下がってもどうにもなりません。大怪我をしたからまず血を止める、今はそのことに全力を上げないといけません。
それに消費税率を下げるとなると、相当数の流通・小売関係の企業でシステム変更やレジの入れ替えなど多額の費用がかります。感染拡大の不安がなくならないと消費は伸びません。消費税率が下がったからと言って消費が大幅に伸びるとは考えにくいです。
世界的な株安による、中期的な世界経済の落ち込みに対しては、消費税減税を含めて、あらゆる選択肢をしっかりと議論する可能性は否定しません」
▼立憲LIVE後のぶら下がり会見で枝野代表が述べた、緊急対策の内容はこちら
https://cdp-japan.jp/news/20200318_2733
▼3月19日の「政府与野党協議会」で提出した緊急対策の内容はこちら
https://cdp-japan.jp/news/20200319_2743
仕事を休まざるをえないのだから、有給以外の方法で休むべき
一斉休校によって仕事を休まざるをえなくなった保護者からは、有給休暇を使うように強制されたり、有給休暇を使い果たして無給で休むことになってしまったりと、困っている声が寄せられた。こうした声に対して、枝野代表は、雇用を維持するための企業への助成金をはじめとした事業者への支援が重要だと強調したうえで、有給取得の強制はすべきでない、と断言した。
枝野「今の状況で、保護者の方が学校一斉休校で家にいざるをえなくなって休業することについては、有給の外枠でやるべきです。雇用調整助成金も用意されているし、事業者に対する支援もしていく。なので(有給を強制するのではなく)ちゃんと払えと。某大手有名企業で有給を強制されたことが報道されて、それを国会で追及してやめさせることはできました。この事例を活用してほしいです」
わたしたちにも気づけてないことがあるはず。いつでも声を寄せてほしい
立憲LIVEの最後には、現場の声を聞かせてほしい、と視聴者へメッセージを発信した。
枝野「今、最大限の想像力とネットワークを使って、現場の声を集めています。でも、わたしたちが気づけていないこともたくさんあるはず。いま困っているという声をぜひ、気軽に#立憲ボイスで寄せてほしい。
与野党連絡協議会はあくまで、新型コロナウイルス感染拡大防止と、世界的な株価暴落に対して最大限協力しましょうという枠組みです。国会での追及は、これまで以上に厳しくやっていきます。きちんとめりはりをつけていきたい」
▼新型コロナウイルスに関するご意見は、Twitterハッシュタグ #立憲ボイス やご意見受付フォームからも受け付けています。
https://cdp-japan.jp/news/20200312_2715