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2020年1月23日

財務省出身議員が予算から読み解く、現政権の問題

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総額102兆6,580億円で過去最大となる、2020年度の一般会計予算案。政府は「経済再生と財政再建を両立した予算案」と言うが、100兆円超えまで膨張した巨大な規模にとどまらず、さまざまな問題がある。

1月20日に始まった通常国会は、この予算案をめぐって論戦が繰り広げられる。主な議論の場である「予算委員会」で、野党共同会派の質疑の調整を担うのが、元財務省官僚の大串博志衆議院議員だ。

官僚、政権与党、内閣が関わって作られる予算案は、政権の意思が色濃く反映される、「政権そのもの」だ。大串議員に予算案を読み解いてもらい、現政権の姿勢、問題点を聞いた。

予算は、政権そのもの

——自己紹介をお願いします。

佐賀県出身で高校まで地元で生活し、今でも週末は100%、佐賀にいます。大学卒業後に入省した大蔵省(現財務省)では、今回の話題である予算の編成の他に、国際金融の仕事をしました。2005年に国会議員になり、今は衆議院予算委員会の理事として、野党共同会派の委員の誰に、どういう質疑をしてもらうか、とコーディネートをしています。

——国の家計簿である予算は、どういうスケジュールで作られるのですか?

国も企業と同じように、4月から翌年3月までの予算を組んで、政策や事業を実施します。この予算をつくる作業は、各省庁で夏前から始まります。来年度の予算をどういうふうに要望しようか、と官僚たちが考え出す。その要望を8月末に財務省へ、予算要求書として提出します。

その要求をもとに、9月には財務省と各省庁のあいだで議論が始まります。各省庁は予算が欲しい、一方の財務省はいやいや財源が足りないよ、といったやり取りをするわけですね。

その後官僚は政権与党にのみ、根回しをします。今は自民党と公明党ですね。この根回しが終わったものを内閣が閣議決定し、12月末に「政府予算案」として公表します。

政府予算案は翌年1月から始まる通常国会に提出されます。そこで今度は国会議員が、予算の配分は適切か、審議します。だいたい2月いっぱいまで衆議院の予算委員会、3月いっぱいまで参議院の予算委員会、この2カ月間の審議を経て3月末、つまり年度末に来年度の予算が完成します。

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——官僚、政権与党、内閣の意思が予算に反映されていくんですね。

予算というのは、内閣がこの国をどういう方向にもっていくか、という全体像を表します。だからある意味、政権そのもの。もし仮に国会で予算案が否決されたりしたら、単に予算が出ないだけではなくて、内閣自体が否定された、というくらいのインパクトがあるんです。

102兆円の財源は、どこからやって来る?

——次に2020年度予算案についてうかがいます。総額は102兆6,580億円で過去最大、2年連続100兆円を超えました。こんなに大きな財源を、政府はどう作っていくのでしょうか?

まず、非常に楽観的に税収の見込みを作っているんです。名目GDPで2.1%、実質GDPで1.4%の成長率見通しを前提に、税収を計画している。よく報道でも出ていますが、民間のエコノミストから見通しが甘いという指摘が多いです。

今、世界経済は不安定です。米中貿易摩擦が解決するかも分からないし、中東情勢が悪化すると原油価格が上がるかもしれない。日本でも消費増税以降、非常に厳しい経済指標が出てきています。その中で来年度、これだけ高い経済成長率を見込んで良いのか、非常に疑問です。

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——歳入には税収以外の財源もありますね。そちらはどうですか?

「税外収入」と呼ばれる財源は、毎年あります。国が持っている株式を売りました、とかですね。ただ、来年度予算案で作る予定の特例が問題なんです。

前年の予算が余ったら、翌年に繰り入れることは、企業でもありますよね。でも、国の予算の繰り入れについては法律でルールがあります。剰余金の半分までは翌年の予算に使って良いです、でも残りの半分は借金の返済に使いなさいね、と財政法で決まっています。ところが来年度予算案では、わざわざ新しく法律を作ってまで、去年余ったお金を全部使っちゃおうという特例を作る予定なんです。

——そんなに特別なことなのですか?

同じように特例を作ったのは、東日本大震災時でした。震災後、どうしても予算が足りなくて急遽必要だったためです。でも普通はそういった大災害後くらいしか、特例は作りませんよ。そんな異例の措置によってやっと、102兆円を越える予算の財源を作っている。非常に綱渡りで、膨張した予算なんですね。

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国債発行額を小さく見せる、「粉飾まがいの予算案」?——政府は「経済再生と財政再建を両立した」と言うけれど…

——政府は国債、つまり借金の発行額を今年度(2019年度)より1,000億円少なく抑えたから「経済再生と財政再建を両立した予算案だ」と発信しています。

先ほど話した税外収入を、例年より大きく繰り入れたから、国債発行額を少なくできたってだけの話です。わたしに言わせれば「粉飾まがいの予算案」を作っている。喧伝していることは立派だけれど、実は見せかけだけ、これが第二次安倍政権のよくやる手だなと。

それと、本予算だけ見ればたしかに国債発行額は今年度に比べて減りましたけど、補正予算では赤字国債を約2兆3,000億円発行していますからね。

——補正予算とは何ですか?

前年度に計画的に作り、4月の年度当初から動かすのが本予算。一方で、年度当初には予測できなかった出来事に対して緊急に追加する予算を、補正予算と言います。たとえば年度途中で災害が起きた。急にリーマンショックのようなことがあって経済が大きく冷え込み、国が予算を出して景気を下支えしなきゃならない。こういった、どうしようもない理由がなければ、補正予算は出してはいけないのが原則です。

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——その補正予算で、国債(=国の借金)を発行することはいけないことなのですか?

2019年度補正予算でなぜ国債を発行したかと言うと、来年度と同じように、税収の見通しが楽観的だったんですよ。去年の予算審議でも「見通しが甘いのでは」と議論はしていました。それが案の定的中して、年度末が近づいて「やっぱり予定していた税収があがらない」と分かり、借金を出すことになってしまった。

国債には2通りあって、1つが「赤字国債」、まさに赤字の穴埋めのための国債です。もう一つは「建設国債」。橋や道路といった公共インフラを作るときに発行できる。なぜ区別するかと言うと、公共インフラは資産として長期間、世の中に利益が残るという側面もあります。一方で、単なる赤字の穴埋めのための赤字国債は、厳に慎まなければいけないですよね。2019年度補正予算で約2兆3,000億円発行するのは、この赤字国債です。

しかも本予算だけ見れば、国債発行額は前年度より少ないけれど、補正予算も含めれば、前年度より多いんです。でも年末の予算案公表時には本予算が中心だから、その事実が見えにくい。先ほど申し上げたように、「見せかけ」をしているんです。

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補正予算編成のルールはないがしろに。過去最大の防衛費がまかりとおる

——2019年度補正予算案を見ると、緊急的な歳出ではない項目がたくさん混ざっていますね。

防衛装備品、つまり兵器を補正予算で大量に購入するのが、安倍政権の特徴です。例えば2019年度補正予算案では、約4,000億円が計上されました。艦船、戦車といった装備品を買うには、もちろん長期計画があります。「あ、これが明日足りない」なんてことはない。それなのに、防衛装備品調達の予算が、安倍政権になってから毎年かなりの額、補正予算に盛り込まれているんです。

何でもかんでも補正予算に繰り込んで、ゆるく国会を通してしまおうという下心が見える。原則の乱れを感じます。

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通常国会、予算審議の追及ポイントは?

——防衛費は本予算でも約5兆円を計上し、6年連続で過去最大額を更新しましたね。

第二次安倍政権になって、防衛費が顕著に伸びています。本予算でさえ毎年過去最高を更新している中で、補正予算でも計上しているんだから、相当伸びている。米国から高額な装備品を買っているためです。本当に必要なものなのか、国会でしっかり追及する必要があります。

——予算審議で、他に審議のポイントとなる点はありますか?

政府が昨年10月から始めた、「幼保無償化」の制度には約3,410億円が充てていますが、問題があります。「無償化」する以前も、所得の低い方に対しては保育所や幼稚園の料金は軽減してきました。今回はそれを一律に無料にしたわけですから、今まで軽減されていなかった、比較的所得の高い人のところに約3,410億円もの財源が使われているわけです。

一方で、2017年度末までだった解消目標が3年先送りになるなど、待機児童問題はいまだに解決していません。その待機児童のご家庭は、無償化の恩恵を受けられない。子ども子育て関係に予算を使うのであれば、待機児童を完全にゼロにするために、不足している保育士の待遇を抜本的に上げるべきです。

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——その幼保無償化の財源には、消費増税分があてられました。一方で増税による景気の落ち込みを防ぐために、軽減税率をはじめとした経済対策に1兆円の予算が使われていますね。

軽減税率制度は、不適切だと考えています。食料品は生活必需品だから8%のままというのは、一見良い制度のように見えますし、政府も消費税は逆進性が強いから是正するための制度だと言っています。

でも所得が高い人ほど価格の高い食料品を買いますよね。1兆円の財源の半分は、年収600万円以上の人たちのところに消えてしまうと言われています。1兆円もの予算があったら、所得の低い方々にフォーカスした施策を打ち出すべきです。

「一強多弱」を超えて

——予算案から見える安倍政権の問題点は何ですか?

国の借金は若い世代に負担を残すものですよね。今の政権についている人たちは痛みを負わないけれど、きちんと向き合わないといけない問題です。それなのに、剰余金の繰り入れなどあらゆる手段を使って、本予算上の国債発行額を少なく見せる。防衛費をどんどん膨らませる一方で、所得が低い人たちに向けた政策は打ち出さない。見栄えだけを良くして、麻酔のようにあらゆる問題を覆い隠す、問題を先送りにする。そういう安倍政権の姿勢が、表れている予算案だと思います。

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——予算審議をはじめチェック機能を果たす上で、与党の「一強」、野党の「多弱」と言われる政情は、影響していましたか?

これまで野党が多弱と言われて、バラバラでしたから、なかなか予算委員会でも効率的、効果的な論戦をするのが難しい時期が続きました。幸い、去年の10月から野党共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」を組みました。衆院予算委員約50人の内訳で見ると、やはり共同会派は数の上では小さいですが、それでもバラバラの時よりは随分、迫力と追い込む力を持てたと思います。

私は予算委員会の理事として、各委員の得意分野を考慮して、誰にどういう質問をしてもらうかコーディネートするのですが、共同会派を組んだことで人材の幅が広がり、ずいぶん効果的に質疑ができるようになりました。今後は安倍政権の問題点を、より浮き彫りに出来るんじゃないかと思います。

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大串博志 HIROSHI OGUSHI

1965年、佐賀県生まれ。衆議院議員(5期、佐賀2区)。
1989年に大蔵省(現財務省)入省。長野県諏訪税務署長、国際通貨基金(IMF)日本理事室審議役、財務省主計局主査、在インドネシア大使館一等書記官などを経て2005年に退官。
同年民主党から初当選し、その後財務大臣政務官、内閣府大臣政務官、復興大臣政務官、内閣総理大臣補佐官などを務めた。現在、立憲民主党幹事長代理、衆議院予算委員会理事、衆議院農林水産委員会委員。趣味は漫才を見ること。

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