2019年5月31日
枝野代表「参院選の争点はパリテ、日米貿易協定交渉密約問題、多様性」
枝野幸男代表は31日、国会内で定例の記者会見を開きました。
枝野代表は冒頭、参院選挙の擁立状況について説明。「野党4党1会派で党首会談を行い、一人区についてはおおむね調整が終わった。また、選挙区についても複数区含めおおむね固まってきた。まだ最終決定ではないが、ここまでのところ選挙区の公認は女性10名、男性9名。女性の方が多くなっている。また、比例区では女性6名、男性10名という状況。比例区に関しては女性を中心に増やしていきたいところだが、推薦も合わせると現時点で擁立している40名はちょうど男女比率が5:5というパリテ(議員が男女同数)の状態になっている。最終的に完全にパリテになるかどうかは別として、パリテを目指して努力してきたということがおおむね達成できた。この点は参院選における一つの大きな争点ではないか」と語りました。
また、枝野代表は「参院選全体の最大の争点については、これからまだ一カ月以上あるので今後の政治状況に応じて改めて示していきたい」とした上で、パリテ以外に現時点で大きな争点となっているものとして、「日米貿易協定交渉に関する密約の問題」「同調圧力対多様性」の二点を挙げました。
前者の密約問題については、「農業や畜産を中心とした密約の問題。トランプ大統領訪日の際、トランプ大統領側から発信された内容を政府が否定しないのであれば、TPPのレベルを超える大幅な譲歩があったと言わざるを得ない。そうではないと言うなら、立証責任は政府の側にある。日本の第一次産業を壊滅的な状況に追い込むものであり、今回の参院選を通じてしっかりと訴えていきたい」と語りました。
後者の同調圧力対多様性という争点については、「桜田前大臣の最低子ども3人発言は失言だとは思わない。むしろ、桜田前大臣を代表とする皆さんの本音ではないか。このような考え方に対して、われわれは多様性こそが力であると訴えていきたい。昨日も異性間に法律婚を限らないということについての民法改正案(婚姻平等法案)を党内として意思決定をした。また、昨日は斉藤りえさんの決起集会も行われた。聴覚障がいというハンデをお持ちの斉藤さんが今後どのように政治参加していくのかということは、どの立場からでも政治参加をはじめとする社会参加ができる社会を作っていくための一つの象徴となるだろう」と述べました。
また、枝野代表は「今後、さらに経済なども含め選挙を戦うに当たっての姿勢というものを順次お示ししていきたい」と発言しました。
さらに、記者からは次のような質問がありました。以下はその要旨です(一部)。
Q:自民党の二階幹事長が「解散の大義は一日あれば作れる」と話していたが、現下の政治状況において衆院の解散はありえると思うか。
私は一貫して行政府による衆院の解散自由裁量は19世紀の遺物であると思っている。議院内閣制の本家である英国においても現在では行政府による自由な解散はできない。したがって行政府が自由に解散を行える現状はまさに19世紀だという風に思っているが、それが現行憲法下においての定着した解釈となっている。あるべき姿をどうこう言ったところで仕方がない。大義があろうとなかろうと安倍政権は解散したいときにするだろうし、したくなければしないということだと思う。
Q:憲法審査会の幹事懇談会が行われているが、与野党の間で協議が整わず、審査会が開かれていない状況が続いている。議論が進んでいない現状をどう考えているか。また、与党側からは枝野代表が議論を停滞させているという指摘も出ているが、どう受け止めているか。
私はこの十年ぐらいにわたりずっと自民党総裁によってまっとうな議論が阻まれていると感じているので、あちらからはそう見えるのだということに過ぎない。われわれとしては、議論を加速させていただきたいと一貫してお願いしている。
Q:予算が議決されてから予算委員会が開かれていない。選挙の前に予算委員会を開催しない与党の姿勢について、どのように捉えているか。
与党が予算委員会を開けば選挙に不利になると思っていることは明々白々だ。つまり、議論をすれば不利になると自ら認めていること自体が選挙の争点だと思っている。(※通常国会の会期は150日間ですが、予算委員会は90日以上開かれていません。)