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2019年5月10日

【衆院本会議】政府、野党案を並行審議「児童虐待防止法案」趣旨説明質疑で大河原議員が質問、野党案提出者の阿部議員が答弁

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 衆院本会議で10日、内閣提出「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」と野党5党1会派(立憲、国民、自由、共産、社保、社民)提出の「児童虐待を防止し、児童の権利利益の擁護を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」の両案が審議入りしました。

 政府提出案は、児童虐待防止対策の強化を図るため親権者等による体罰の禁止、児童相談所への医師等の専門職の配置、児童相談所の管轄区域に係る参酌基準の創設、児童虐待を受けた児童の保護等のために協力すべき関係機関の明確化等の措置を講ずるもの。

 野党案では、今年1月に千葉県野田市で起きた女児虐待死事件を重く受け止め、昨年の通常国会に提出した「児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する一部を改正する法律案」の内容を強化、児童虐待の防止及び保護者への指導・支援強化のため、市町村への子ども家庭総合支援拠点の設置や、児童相談所での虐待を行った保護者への再発防止プログラムの実施を義務付けるものです。

 趣旨説明質疑では、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して大河原雅子議員が登壇。大河原議員は、本年1月に起こった千葉県野田市での小学4年生の女児虐待死事件について「何度も『SOS』が発せられていたにもかかわらず、命を救うことができなかった」と述べ、関係機関の致命的な判断ミスや連携不足、法制度の欠陥などさまざまな問題点が浮き彫りになったと指摘。さらに、児童虐待の背後にあったとされる、母親が父親からDVを受けていたという、家庭内のDVにも触れ、「DVの特殊な構造を見極めた法体系をつくる必要がある」また「縦割りをなくさないと事件の再発は防止できない」といった専門家の声を紹介、「繰り返される、こうした悲劇への対応として、政府案、そして野党案が提出され、議論していくことは遅きに失したとはいえ、何歩も前進するものとして捉えている」と述べました。

 その上で、政府案と野党案に対し(1)民法上の懲戒権の削除を含む見直し(2)子どもの意見表明権を具体的に保障する仕組み(3)児童相談所の職員の増員と資質の向上(4)児童相談所職員等の待遇改善(5)一時保護所の増設や環境の整備――等について質問。野党案に対しては特に、児童虐待防止強化とDV防止等について政府案との主な違い、虐待を行った親への再発プログラムの義務化や、DV加害者への指導、支援の検討規定を設けた趣旨について尋ねました。

 答弁に立った阿部知子衆院議員は、2017年度に児童相談所に寄せられた虐待件数約13万件のうち、その過半を占める心理的虐待の相当数がDV関連となっているという現実があるとして、今回、DV防止法の改正部分については、政府案にある「DV防止関係機関と児童相談所との連携強化」に加え、野党案では(1)身体的なDVの発見者による通報および医師等が職務上身体的DVの被害者を発見した場合の通報を義務化し、その通報先に市町村を追加する(2)本法公布後速やかに、2017年度時点で約8割が非常勤である婦人相談員の待遇改善、専門性の確保等について検討を加え必要な措置を講ずる(3)本公布後3年をめどに通報の対象となるDVの形態および保護命令の申し立てをすることができる被害者の範囲等について検討を加え、必要な措置を講ずる(4)本公布後3年をめどにDV加害者の更生のための指導および支援の方法ならびにそれらの実施体制について検討を加え必要な措置を講ずる――旨の規定を設けていると強調しました。

 大河原議員は最後に、今回の政府案、野党案にとどまらず、根本的な法改正が必要だと主張。特に、児童虐待の背景にあるDV影響の調査研究やDVを見抜ける専門職の必要性を指摘するとともに、DV影響化の母親に対する支援が必要性であるという認識を広く共有していくことが重要だと強調し、「政府案、野党案の審議を尽くして、互いに補い合う修正法案が結実することを強く期待する」と質問を締めくくりました。

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【衆院本会議】「児童虐待防止法改正案」に対する質問原稿(案)大河原雅子議員.pdf

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