2019年3月19日
【衆院本会議】民事執行法及びハーグ実施法一部改正案が審議入り 黒岩議員が質問
衆院本会議で19日、「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案」(民事執行法及びハーグ実施法一部改正案)の趣旨説明質疑が行われた、立憲民主党・無所属フォーラムを代表して黒岩宇洋議員が質問に立ちました。
本法律案は、民事執行制度をめぐる最近の情勢に鑑み、債務者の財産状況の調査に関する規定の整備(債務者財産開示制度の実効性の向上)、不動産競売における暴力団員の買受け防止(暴力団排除)に関する規定の新設、子の引渡しの強制執行及び国際的な子の返還の強制執行に関する規定の整備(明確化)が主な内容となっています。
債務者財産開示制度の実効性の向上に関連し、(1)債務名義の種類を限定した現行法を改める事としたのはどのような理由によるものか。情報開示を強制させられた債務者が不利益を被る恐れがなくなるような社会情勢の変化とはどのようなものか(2)債務者以外の第三者からの情報取得手続きの新設で、目的外利用に対する罰則を強化すべしとの意見もあったが何故本法案では何ら盛り込まれなかったのか―などを問いました。
不動産競売における暴力団排除に関連しては、(1)買受申出人が入札前に自らが暴力団員等でない事を陳述し、虚偽陳述に対しては6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科されるが、暴力団の世界で50万円の罰金を恐れる組員がそれ程いるか。この罰則による抑止力について(2)暴力団員等でない者が暴力団員等の指示に基づき買受の申し出をする事も同じく制限しているが、資金提供者は誰なのかどうやって確認するのか(3)競売後、暴力団員等に転売することを約した上での買受は制限されるのか――などを問いました。
国内における子の引き渡しの強制執行に関する規定の明確化、またそれに伴うハーグ実施法の見直しについては、(1)ハーグ実施法が施行されてからこの間、間接強制決定後代替執行に至った事案は7件。うち1件は取り下げ、その他6件は全て子の返還が実現していない。本改正により返還の実効性はどれ程担保できるのか(2)現状では子と債務者同時存在の原則によって運用しているが、年間100件程度の強制執行の内、約4割の引き渡しが執行不能となっている。これら事例の内、債務者の存在が強制執行の妨げになっている例はどれほどあるのか(3)また同時存在の原則を不要とする事により引き渡しの実効性がどれほど高まると考えているのか――を問いました。
黒岩議員は質問の最後、「本法案におきましても、昨今の法務省所管法案におきましても、立法事実の裏付けとなる数的根拠が曖昧であったり、効果測定を数値化していない事例が散見されます。本法案でもKPIは何ら示されていません」と指摘、さらに「安倍政権におきましては政策立案の基礎となる統計データを更に重要視する事は勿論、二度と歪めるなどという事はあってはなりません。数字は嘘をつきませんが、数字に嘘をつかせることはできるのです。時の為政者が日頃自らうそぶくが如く数字にうそぶかせるなど断じて許されない」と述べ、質問を終えました。