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2020年5月4日

「コロナ後、従来通りには保育園を開けないかもしれない」。政治のしわ寄せを受ける、保育現場の危機感

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「ステイホーム」「ソーシャル・ディスタンス」。保育の現場では空虚に響く掛け声だ。緊急事態宣言下でも働きに出ざるを得ない親たちのため、子どもたちを受け入れている保育の現場は、感染リスクと隣り合わせだ。

一方、登園自粛が進むところでは、非正規雇用保育士のシフトが減ったりなくなったりしたことで、無給・減給となる事態が問題となっている。厚労省によると、保育士の雇用形態(公立、私立合計)は半数が非正規雇用。一部の保育士の問題ではない。

4月29日、立憲民主党の枝野幸男代表と、党の子ども・子育てプロジェクトチーム事務局長の岡本あき子衆議院議員が、NPO法人で私立保育園を運営している東京都練馬区の白石恵子区議と愛知県にある公立保育園勤務の保育士Aさん、私立保育園園長の平松知子さん、名城大学の蓑輪明子准教授(女性労働論)から、オンラインで保育現場の実情を聞いた。

※写真は上段左が蓑輪准教授、右が白石区議、中段左が岡本衆院議員、右が公立保育園勤務の保育士Aさん、下段左が枝野代表、右が私立保育園園長の平松さん

「保育はどうしても濃厚接触」。感染不安との闘い

厚労省の調査によると、職員や園児の新型コロナウイルス感染による休園は4月16日時点で全国20カ所にのぼる。高齢者や基礎疾患を持つ人が重症化しやすいと懸念されているが、海外では乳幼児の死亡例も出てきていると報道されている。保育士たちは感染のプレッシャーと闘いながら、登園する子どもたちのケアだけでなく、家庭保育中の保護者へのサポ―トにも取り組んでいる。

公立保育園勤務の保育士Aさん
「保育はどうしても濃厚接触になります。自分が感染して、もし子どもにうつしてしまったら申し訳ないし、保育園に対する世間の目も厳しくなるだろう、というプレッシャーで疲労感は強いです。

感染防止に必要な備品も足りていません。愛知県の他の公立保育園では、手洗い石鹸やペーパータオルも手に入らないと聞きます」

私立保育園園長の平松さん
「すごい緊張状態が続いています。ニュース番組のキャスターが、医療従事者に感謝を述べるのと並んで保育士に少し言及しただけで泣けてきた、という話を保育士から聞きます。そんな中で、「いつもと違う」と子どもたちも緊張しています。どうやったら、いつも通りの笑顔にしてあげられるのか。社会的に意義がある仕事だということを平常時よりも強く感じながら、現場は頑張っています。

(登園自粛して)家庭保育中の保護者には、おたよりやリズム体操の動画を送ったり、電話をかけたりして励ましています。(家庭保育が)しんどいという電話をもらい、すごく長電話になって受話器を置けないこともあります」

十分な補償がないためのやむを得ない登園により、要支援家庭が置き去りにされてしまうおそれ

4月7日の緊急事態宣言発令後、宣言の対象となった7都府県の政令市と中核市、東京23区のうち、3割(4月15日時点)の自治体が認可園を「原則休園」とした。保育園側としてはさらに登園自粛を促して、障がいがある、虐待のおそれがあるなどケアが特に必要な要支援家庭の子たちの保育を優先的に確保したいが、政府からの十分な補償がないために保護者が仕事を休めない家庭の子は、なかなか登園自粛ができないという。

公立保育園勤務の保育士Aさん
「今、登園率は3、4割です。休業に対する十分な経済的な補償が(国から)ないので仕事を休めず、登園自粛したいけどできない保護者などが預けに来ています。

一方で要支援の子どもたちが登園していません。電話はかけていますが、子どもたちがどうなっているのか心配です」

私立保育園園長の平松さん
「保育園は福祉施設なので、いかなる場合も門を閉ざすことはしません。でも、勤め先が在宅ワークに切り替えず、やむを得ず登園させている保護者数名からは『いっそのこと休園にしてくれたら、社長も仕方ないって言うのにね』と声が上がっています。本当は家にいて感染リスクを下げたいのに、やむを得ず子育てしながら出勤している人に対して配慮のない事業者へのメッセージとしても、強力な登園自粛要請を自治体が出すのも一手かもしれません」

蓑輪准教授は、コロナ禍の保育園の現状を、全国の関係者から聞き取っている。緊急事態宣言下で要支援家庭の子どもたちの受け皿を確保するためには、在宅ワークをする保護者の業務量を調整するなど働き方にも踏み込み、他の子たちの登園自粛を進める必要があるという。

蓑輪准教授「医療や流通、交通など、生活を成り立たせるのに不可欠な『エッセンシャル・ワーク』に従事する親の子どもさんはもちろんですが、虐待のおそれがある、障がいがあるなど『要支援』家庭のお子さんにも、緊急事態宣言下で優先的に受け皿を作らなければなりません。そのため今は『三密』になりにくいスペース確保が必要です。なるべく登園自粛を進めるしかないのですが、在宅ワークや全面・部分休業に切り替えられるはずの事業者がそうしていない。国による休業補償はもちろん、企業のできる努力も必要です。

また在宅ワークに切り替えても、過重労働だと登園自粛は難しい。登園自粛中の大学の先生の例では、昼間は子どもの世話に忙しくて仕事ができず、朝4、5時の早朝や深夜に不慣れなオンライン授業の準備をしている人もいます。子育て世帯が在宅ワークをするのであれば、業務量の調整も必要ですが、まだ問題とさえみなされていない職場もあります」

シフトが減った非正規雇用の保育士に、政治の力で休業補償を

自治体が「原則休園」を指示した地域や、園側が自主的に登園自粛を呼びかけた一部の保育園では、非正規雇用の保育士がのシフトが減ったりなくなったりしたことで、有給休暇を使わざるをえなかったり、無給・減給となったりするケースが問題となっている。

蓑輪准教授「一部の園では、雇用者側からの一方的な無給、減給休業が横行していると聞きます。雇用保障に対する事業者の無理解が原因で、無給になってしまっているケースもあり、こうした事業者にはきちんと支払わせる必要があります。

一方で、非正規保育士の休業中に賃金をきちんと支払いたい事業者でも、賃金原資確保の不安から、きちんと支払えない現状もあります。特に今は、利用者人数に応じて出ている補助事業の国や自治体の補助金が、登園自粛により少なくなってしまうので、非正規保の保育士の賃金を保障したくてもできないという事業者の声が上がっています。

保育事業者が賃金保障できる原資は確保されているのか、制度を隅々まできめ細かくチェックして、非正規保育士の休業補償政策を拡充する必要があります」

公立保育園勤務の保育士Aさん
「愛知県のある自治体の公立保育園では、正規も非正規も小学校6年生以下の子どもがいる保育士は、職免(※)を使って休めるようになったり、労働組合の働きかけで在宅勤務もできるようになりました。それまでは(登園自粛によって保育士数を減らすための休業であっても)パートなど非正規雇用の保育士たちは有給休暇を消化するしかありませんでした」

※「職務に専念する義務の免除」のこと。

非正規雇用の保育士の休業手当については現在、メディアなどで様々な情報が錯綜(さくそう)しており、今ある国の制度だけで休業手当を維持していけるのか、不安を抱える運営者もいる。国からの明確な発信が必要とされている。

私立保育園園長の平松さん
「今うちの園では、非正規雇用の保育士たちは、(休業手当をつけた上で)全員お休みにして、正規職員だけで回しています。登園率は20%くらいです。

一時保育や延長保育など追加的なサービスを止め、保育する人数が減ったので、(国からもともと出ていた補助金は)200万円ほど減算になる予定です。今ある国の制度だけで、パートさんたちに休んでもらっている間の手当を維持できるか、不安です」

「保育は社会に不可欠な仕事」。それに見合う賃金、環境の不備がコロナで浮き彫りに

ヒアリングを通して改めて浮き彫りになったのは、保育が社会に不可欠な仕事なのにもかかわらず、政治がそれに見合った処遇や環境を整えてこなかった現実だ。

蓑輪准教授「どんな緊急事態でも、子どもたちの世話は社会に不可欠な『エッセンシャル・ワーク』です。感染リスクが高くても保育士は休みにくいのに、安心して仕事を続けるための環境整備がなされていません。今、保育の現場が危険な状態にあるのも、エッセンシャル・ワークとして保育が位置づけられていないことの表れだと思います。消毒薬やマスクなど備品が行き届いていないのは象徴的です。危険手当や上乗せ手当をどうするかの議論をすべきなのに、それもない。政治によって子ども、保育士の命が奪われてしまう。これまでにない危機感を覚えています」

白石区議「ただでさえ低賃金な上に過酷な仕事の中、コロナでより厳しくなり、これを機に保育士を辞めたいという声が多くなっていると聞きます。このままでは、いざ事態が収束したとしても保育園自体がこれまでと同じようには開けないのでは、と危機感を強めています」

岡本衆院議員と枝野代表は、子育て支援制度全般や、親の働き方など保育以外の分野にも視野を広げながら、コロナ対策という目の前の問題に当たると応じた。

枝野代表「保育園の皆さんは、外出自粛への対応が自治体や企業にとって異なるなど、政治や社会の仕組み不足のしわ寄せを受けながら、そして感染リスクと隣り合わせの厳しい現場で、対応していただいています。本当にありがとうございます。これまで保育園経営や保育士の処遇改善を政治が重要視してこなかったツケが今、回ってきていると感じます。保育は使命感だけではやっていけません。特に非正規雇用の保育士への休業補償問題は深刻です。あらゆる方法を検討して、早くて効果的な方法を政府にプッシュしていきます」

岡本衆院議員「コロナの影響で、行政による新生児訪問、1歳6カ月健診も止まってしまっています。保育園任せにするのではなく、政治全体で子育て世帯を支える仕組みをもっと充実させていかなければなりません」

緊急事態宣言が延長される見通しとなり、今後も保育園は難しいかじ取りを迫られる。立憲民主党は今後も、現場の声を政治に反映させるだけでなく、制度を現場に確実に届けられるよう、草の根のネットワークを生かして取り組んでいく。

枝野幸男 YUKIO EDANO(立憲民主党 代表)
ホームページ https://www.edano.gr.jp/
Twitter @edanoyukio0531

岡本あき子 AKIKO OKAMOTO(立憲民主党 衆議院議員)
ホームページ https://okamotoakiko.net/
Twitter @a_okamotooffice

白石恵子 KEIKO SHIRAISHI(立憲民主党 東京都練馬区議)
ホームページ https://shiraishi-keiko.net/
Twitter @shiraishikeiko

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