2019年11月12日
【衆院本会議】会社法改正案が審議入り、落合議員が質問
衆院本会議で12日、大企業に社外取締役の設置を義務付ける規定等を盛り込んだ会社法改正案(「会社法の一部を改正する法律案」および「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」)が審議入りし、共同会派「立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム」を代表して落合貴之議員が質問に立ちました。
落合議員は冒頭、「会社法は、会社のガバナンスを適正なものにする上で重要な法律。どんな組織にも適正なガバナンスが求められる」と述べた上で、「しかし、先週の国会では、内閣のトップ、総理大臣が、公的行事を私物化しているのではないかという問題が出てきた」と続け、「桜を見る会」に言及。桜を見る会は、「各界で功労・功績のあった人達を慰労し、懇談すること」を目的に、全額公費で例年4月に新宿御苑で開かれ、食事など費用は全て税金で支出されています。長年1万人前後だった参加者は、安倍政権下で増え続け今年は1万8200人が招待され、予算の3倍以上となる約5500万円が支出されました。加えて、安倍総理の地元後援会の関係者が数百人規模で招待され、その前日には安倍総理夫妻出席しての「安倍晋三後援会・桜を見る会前夜祭」が都内のホテルで開かれ翌日貸し切りバスで会場まで移動、開門前に記念撮影をしていたことなどが明らかになっているとして、公職選挙法違反の恐れがあること、また前夜祭会場にも、送迎バスにも、安倍晋三後援会と表示があるにも関わらず、収支報告書不記載であることから政治資金規正法に抵触するのではないかと指摘しました。
疑惑を払しょくするために総理はしっかり説明をするべきだと求め、(1)招待者の選定の公平性が損なわれているのではないか。園遊会の招待名簿は、30年間保存で公開されるのに、「桜を見る会」については即破棄されているのはなぜか(2)数百人規模の後援会旅行に桜を見る会を利用することは、公費の私物化ではないか(3)数百人の安倍総理後援会の参加者がどのような功労や功績があったと把握をしているか(4)一般的に、選挙区の支援者を大勢招待し、無料で飲み食いさせることは、公職選挙法違反ではないか――と迫りました。
これに対し菅官房長官は、招待者の選定基準について『桜を見る会』開催要領に基づき各省庁からの意見等を踏まえ、各界で功労・功績のあった人たちを幅広く招待しており、招待者については内閣官房および内閣府で最終的に取りまとめているものと承知していると無責任な答弁に終始。招待名簿を即廃棄している理由については、「桜を見る会の招待者名簿については会の終了をもって使用目的を終えることに加え、これをすべて保存すれば個人情報を含んだ膨大な量の文書を適切に管理する必要が生じることもあり、内閣府においては従前から保存期間1年未満文書として終了後遅滞なく廃棄する取り扱いと承知している」と答えるにとどまり、30年間保存、公開されている園遊会招待名簿との取り扱いの違いについて明確な説明はありませんでした。
その上で、落合議員は会社法改正案に対し、(1)社外取締役設置を法律で義務付ける必要性(2)経済の中長期的な成長を担う産業の創出と株式交付制度の関係(3)不当な目的等による株主提案権の制限(4)保証契約に関する規定の新設(5)株式会社が上げた利益の分配のあり方(6)従業員の給料を上げるインセンティブ――について質問。「社外取締役が、投資家投機家の立場に立ち過ぎ、会社の健全な成長を阻害しているという指摘が海外でも散見され、懸念が出始めるなか、社外取締役設置を義務付ける必要はあるのか。社外取締役制度自体を検証するべき時ではないか」「安易なM&Aが中長期的な投資を阻害し、イノベーションや適正な競争を阻害しているという議論も起こっているなか、基準緩和ともいえるこの株式交付制度の創設は適正なのか」などと政府の見解をただしました。
最後に、「投資家投機家の力の拡大に偏り過ぎている一昔前の改革案ばかりで、今の重要な問題についてはしっかり議論も進めていない現状だ。このままでは日本の富は、どんどん海外に流失するのではないか。これにしっかりと手当をするべきではないか」と提起。「日本資本主義の父であり、経済活動と共に、道徳や社会のあるべき姿を考え行動することを大切にしたその渋沢(栄一)の精神がわが国の経済基盤を作ったことを、われわれは忘れてはならない。世界の今の金融資本主義の潮流を、日本が率先して変える。世界の正しいあり方に日本が率先して答えを出す。この必要性を強調し、質問を終える」と述べました。