2019年9月18日
東京島嶼部の台風15号被害調査で塩村参院議員が新島を現地視察
塩村あやか参院議員は15日、台風15号により東京の島嶼部で大きな被害が出たことを受け新島を訪問し、被災の現状を視察。新島村長と被害のあらましと今後の課題について懇談を行いました。以下は塩村議員の報告要旨です。
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台風15号による東京島嶼部被害把握のため、9月15日に伊豆諸島の新島村を視察した。新島の本村地区、若郷地区、式根島の式根島地区の3地区で、村発表の被害件数は573軒。被害比率は約69%(15日時点)。山本均村議の案内により島内を順に視察した。若郷地区では閉校した小学校の運動場脇にがれきが収集されていた。視察時も3人ほどが車でがれきを搬入していた。皆さん落ち着いた様子。本村地区に向かう途中でオープンしたばかりのごみ焼却場に立ち寄る。住民は普段からごみを持ち込んおり、大きな混乱はないとのこと。「まだ式根島の量がはっきりしないが、ごみやがれきは想定よりも少ない」とのことだった。視察中にも1台の軽自動車が濡れた段ボールとぬいぐるみを捨てに来た。空港脇にあるがれき置き場にはある程度の量が集積されており、トタンが最も多く、次に樹木、岩石の順。今回の台風以上の被害が出た場合、島嶼部での重機・車両(トラック)問題の懸念が示された。人間(オペレーター)は本土から移動可能だが、重機は簡単に島嶼部に移動できない。本土の被害が大きいと航路が途絶える可能性もあり、重機の確保を考えて欲しいと要望をいただいた。
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本村地区は落ち着きを取り戻している様子で、店も開いている所が多く、観光客も飲食の不自由はなさそう。一方、海岸沿いにある温泉2施設やガラスミュージアムは閉鎖中。ガラスミュージアムは海に面したガラス壁が割れ、板で応急処置がしてあった。特養ホームで破損箇所を外から確認したところ、屋根の一部が飛ばされ防水シートで補修中。屋上に設置していた浴室エアコンの室外機が1台飛ばされ、再設置できていない。備蓄は3日分と聞いたが、おかゆが足りず。水は災害用飲料水の支給に加え、島に所在する防衛装備庁研究所内の井戸水を給水タンク車でピストン補給されたため、節水で乗り切ることができたとのこと。
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午後には青沼邦和村長と面談。農道の倒木撤去は終わったが、枝道の撤去はできていない。その先に農場が多くあるため、今後農業被害が出てくるはずであり、懸念しているとのことだった。倒木の影響により電気の復旧に影響があったため、今後は無電柱化を推進するモデル地区になれないかと考えている。台風被害に伴う設備修繕や不作などで借り入れを行う人への利子補助制度を考えているとのこと。
島内視察を通じて感じたのは一様に「これまで経験したことがないほどの台風」といわれながらも、台風の通り道になることが多いことから心構えができており、破損箇所の復旧など大きな混乱もなく対応がされていた。これは工具が身近にあること、被害比率は高いが家屋が土砂で埋まる土砂災害や倒壊がなかったこと、2日で電気が復旧したこともあり避難所生活を送る人が出なかったことで、島内の混乱しなかったのではないか。
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島内で聞いた声を参考に今後必要だと思われることを列挙すると、(1)被害家屋や事業所救済のための財政支援(補助)(2)島嶼部の備蓄は3日分では不足(3)内地が激甚災害の場合の想定(特に病人)(4)高齢者施設などの衛生問題に対応できる体制(おかゆなど高齢者向けレトルトの備蓄、停電断水対応、空調等に対応できる自家発電設備)(5)建設系重機・車両の増強――などがあげられる。