2019年6月16日
分散型エネルギー社会推進4法案を衆院に提出
立憲民主党は13日午前、分散型エネルギー社会推進4法案(「分散型エネルギー利用促進法案」「熱エネルギー利用促進法案」「公共施設省エネ再エネ義務化法案」「エネルギー協同組合法案」)を国民民主、共産、社保、社民の野党4党1会派共同(「熱エネルギー利用促進法案」は国民民主を除く野党3党1会派)で衆院に提出しました。
分散型エネルギー利用促進法案は、東日本大震災・福島第一原発事故の教訓として、大規模集中型中心のエネルギー施策からの脱却をめざし、地域エネルギー源を効果的・効率的に活用してエネルギーの地産地消・分散型エネルギー利用を推進するものです。これにより、地域の資源や人材を活用し、それによる利益を地域に還元することで、雇用機会の創出・地域経済の活性化による自立的で個性豊かな地域社会の形成を目指しています。国が分散型エネルギー利用促進基本方針を策定し、地方自治体がそれにもとづく分散型エネルギー利用促進計画を策定、国から自治体への交付金により自治体が主体的に分散型エネルギー利用を促進することができるようになります。
熱エネルギー利用促進法案は、火力発電所ではほぼ半分の熱が捨てられており、製造業の配管保温材劣化で原発7基分の熱ロスがあるという指摘がなされている一方で、太陽熱・地中熱などの再生可能熱の利用が進んでいないなど、日本では熱の有効利用が十分になされていない実情があり、そこに大幅な省エネの余地があることから、エネルギー利用に関する基本理念の確立(使用抑制、効率的利用、地産地消、情報公開等)、廃熱・再生可能熱の利用促進、廃熱をエネルギー源として法的に位置づけること、廃熱発生量の公表制度などを定め、総合的に熱利用の促進を図ります。
公共施設省エネ・再エネ義務化法案は、日本では建物の断熱性能が諸外国に比べて低く「穴の空いたバケツ」状態になっていることから、国・独立行政法人の建物について、実施目標を定め、最も厳しい断熱基準を定めるとともに省エネ機器を導入し、エネルギー使用の20%以上を再エネで賄うことを義務づけるものです。既存の建物についても各省庁が改修計画を策定し2030年までに全ての建物で改修を終えることとしています。なお、地方自治体については努力義務となっています。これにより、断熱材や省エネ機器の増産によるコストダウンによる民間への波及が期待され、日本全体の建物の断熱性能の大幅向上、ゼロエネルギー化の早期実現を図ります。
エネルギー協同組合法案は、ドイツをはじめとするヨーロッパで再生可能エネルギー発電を行う主体の多くが地域の人が出資してできたエネルギー協同組合が担い、地域のお金が地域に還元され、地域が豊かになっていることを踏まえ、日本においてもエネルギーを作ることを主な目的とする協同組合の設立を行うとこができるようにするものです。エネルギー協同組合法の成立を願う声はとても大きく、協同組合関係者や市民発電事業者などとの意見交換を踏まえ、少人数での設立を可能とするなどの工夫を行っています。
提出後の記者会見で党エネルギー調査会長の近藤昭一衆院議員は、「野党共同で原発ゼロ基本法案をすでに提出しているが、エネルギーの問題は非常に重要であるにもかかわらず、正面からの議論がされていない」と述べ、会期末ではあるが議論を促す意味からも今回の提出になったと説明。同調査会事務局長の山崎誠衆院議員は、「地方自治体等を支援しながら全体として再生可能エネルギーの底上げを図る。特に、地域主導の進展を促進するもの。日本は太陽光、風力、地熱、水力と豊かな資源がある。そうしたものを地域ごとにうまく特性を活かして推進するための法案。原発ゼロ基本法案の実施法的なものだが、これだけでも十分意味がある。いまの政府のエネルギー政策は、まだまだ再エネや熱利用について具体化が進んでいないなか、前に進めたいと思い今回の提出になった」と意義を強調しました。