2020年7月9日
【参院外防委】白議員、防衛協力という観点からも外交努力を重ねて確実に進めていくことを要望
参院外交防衛委員会で9日閉会中審査が開かれ、共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」から質問に立った白眞勲議員は、(1)自衛隊の中東派遣にかかる武器使用についての報道(2)イージス・アショア配備撤回までのプロセス(3)普天間基地の移設(4)敵基地攻撃論と核戦略――などについて政府の見解をただしました。
読売新聞の自衛隊の中東派遣に係る武器使用についての新たな見解を出したとの報道について事実。河野太郎防衛大臣は、「中東への自衛隊の派遣に関しまして新たな見解をまとめたという事実はございません」と答え、事実上否定しました。
イージス・アショア配備撤回までのプロセスについては、対米外交にも関わる話であるとして、外務省に防衛省から事前に相談があったかとただしましたが、外務省は「発表前(6月15日の河野防衛大臣による正式発表)に防衛省から連絡を受けている」との答弁に終始。事前の相談はなく決定が伝えられた形だったことが明らかになりました。
また白議員は、今回のイージス・アショア配備撤回と普天間基地移設の問題を重ね、防衛省がイージス・アショアの配備について事実上撤回する旨の6月15日に公表した文書を普天間基地の状況に置き換えて示しました。
(防衛省の文書)
その後、引き続き米側との協議を行い、検討を進めてきた結果、本年5月下旬、SM-3の飛翔経路をコントロールし、演習場内又は海上に確実に落下させるためには、ソフトウェアのみならず、ハードウェアを含め、システム全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明した。(普天間基地移設に置き換え説明したもの)
その後、引き続き米側との協議を行い、検討を進めてきた結果、昨年、辺野古の埋め立てを確実に実行させるためには、マヨネーズ並みとされる軟弱な地盤があることがわかり、地盤改良を含め、全体の大幅な改修が必要となり、相当のコストと期間を要することが判明した。
(防衛省の文書)
防衛省としては、この追加のコスト及び期間に鑑み、イージス・アショアの配備に関するプロセスを停止する。(普天間基地移設に置き換え説明したもの)
防衛省としては、この追加のコスト及び期間に鑑み、辺野古の埋め立てに関するプロセスを停止する。
(防衛省の文書)
今後の対応については、先ずは、防衛省として、地元の皆様にお詫びとご説明を申し上げ、国家安全保障会議に今般の状況を報告の上、その議論を踏まえて検討して参りたい。(普天間基地移設に置き換え説明したもの)
今後の対応については、先ずは、防衛省として、地元の皆様にお詫びとご説明を申し上げ、国家安全保障会議に今般の状況を報告の上、その議論を踏まえて検討して参りたい。
白議員は「むしろイージス・アショアより、期間もコストも掛かる。違うところがあれば指摘願いたい」と述べました。河野防衛大臣は「まったく違うと思います」とだけ答えました。
続けて白議員は「普天間の移転についてはコストもさることながら、やはり期間が一番重要。普天間基地の危険性除去というのであれば、一刻も早く普天間基地から移転してもらわなければならない」と指摘。「相当な期間とコストかかるならば、例えば地元の反対はあるにせよ、とりあえず、普天間から嘉手納の統合や那覇空港第2滑走の使用などによって、1日でも早く普天間の危険性を除去するために努力していく必要性もあるんではないだろうか」とただしましたが、河野防衛大臣は「現行案が唯一の選択肢ということで、日米両国政府合意をして進めております」とだけ答えました。
敵基地攻撃論に関連し、昨日の衆院安全保障委員会で本多平直議員の「総理と敵基地攻撃論も含む話はされていないか」との質問に河野防衛大臣が「イージス・アショアの配備を断念し、今後どうするか、あらゆる選択肢をテーブルの上に乗せて議論するということは当然のこと」と答弁したことについて、一部で取り上げられている「ニュークリアシェアリング(核兵器の共有)」の議論は含まれるのかとただしました。
河野防衛大臣は、「今議論をしようというのは、イージス・アショア配備を断念することになり、5、6年はイージス艦とPAC-3で弾道ミサイル防衛を行う。その後どうするか。海上自衛隊の船繰り人繰りの問題がございます。また、新たな空からの脅威がございます。それにどう対抗していくか、そういう議論をしようということで、ここで言っているすべてのカードの中に核戦略の話は入っていない」と答えました。
また白議員は、敵がミサイルを発射する前に拠点をたたく「敵基地攻撃」を論じるよりも、ミサイルを発射したくなくなるための外交努力をすべきだと指摘。河野防衛大臣は、「外交と防衛というのは車の両輪、両方ともしっかり前へ回すということが大事」と答弁しました。
白議員は、防衛協力という観点からも外交努力を重ねて確実に進めていくことを要望し質問を終えました。