2020年6月15日
【参院決算委】給付金事業の透明性、説明責任を求める 長浜、野田両議員が質問
参院決算委員会で15日、平成30年(2018年)度決算に関する締めくくり総括質疑が行われ、共同会派「立憲・国民.新緑風会・社民」から長浜博行、野田国義両議員らが質疑に立ち、観光需要喚起政策「GoToキャンペーン」や持続化給付金事業、ワクチンや治療薬など新型コロナ対策について政府の見解をただしました(写真上は、長浜議員)。
長浜議員は、「歴史的緊急事態」となった新型コロナウイルス感染症に係る事態に対する認識について、「今回の行政文書の管理に関するガイドラインにおいては、個別の事態が歴史的緊急事態に該当するか否かについて、公文書管理を担当する大臣が閣議等の場で判断する裁量権の幅が広い。科学の純粋の検証を可能にするように、どこまでを今般の新型コロナウイルス感染症に係る事態とするかは、広く捉えて公文書の形で残していただきたい」と要請。西村経済再生担当大臣は、「同様の考えを持っている。歴史的緊急事態に該当するとした。将来別の感染の発症、あるいは新型コロナウイルスが進化して厳しい状況になるかもしれない。さまざまな事態を想定して今回の対応の経緯、教訓を後世に残していくのは極めて大事。ガイドラインに基づいてできる限り丁寧に記録を残していきたい」、安倍総理も「今回どういうことが起こったのか、課題があったのか等々について検証し、次に生かしていただきたい。記録に残す責任がある。ガイドラインに沿って残していきたい」と応じました。
GoToキャンペーンをめぐっては、野党からの追及などを受け、政府は今月8日を期限としていた事務の委託先の公募をいったん中止すると発表。衆院での審議では、経済産業省が国土交通省、農林水産業が共同で事業を推進し、経産省が全体の取りまとめ役を務めると説明していたものを、参院での審議になると、事業を所管する省庁ごとに分割した上でそれぞれ再公募する方針へとスキームが変更されたことを問題視しました。この点をただすと、梶山経産大臣は「観光、飲食、イベントという性質の異なる事業を統括する事務局の構造が複雑になるという課題が当初より存在して議論もされてきた。そのようななか、国会や国民の指摘を踏まえて、より事務局の構造を簡素にする必要があるとの判断に至り、関係閣僚で相談の上、いったん現在の一括による公募をやめることとした」と説明。長浜議員は「衆院とまったく違う状況を(参院での)説明の時に提示された。猛省を求めたい」と述べ、引き続き事業の透明性と説明責任を求めていく考えを示しました。
野田議員は、経産省か持続化給付金の事業を委託した「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」について、2016年の設立以来決算報告を1度も行っておらず、事務所も機能しているか不明だとして、「実態がないのではないか。ここでは玄孫受けまでされていて、経産省としてはまったくガバナンスが利かないのではないか」と指摘。玄孫受け先に、長谷川総理補佐官がかつて顧問をしていた民間会社が入っていることにも触れ、安倍総理に近しい人たちだけが潤うという構図はこれまで問題とまったく一緒だと批判しました。
また、経済産業省が同省の記者クラブに対し、持続化給付金事務業務申請サポート事務局への取材を「絶対にご遠慮ください」と通達したことを問題視。これに対し梶山経産大臣は「事業の委託先である一般社団法人サービスデザイン協議会の築地の事務所に申請者が訪問したように、審査業務や申請サポートの事務を統括する事務所の所在が明らかになると支障が生じ、給付に遅れが発生することも懸念される。記者クラブにはそうしたことを説明し、事務局に直接取材に行くこと、また場所の特定につながる報道を控えていただくようお願いした。報道そのものを控えると言う趣旨ではなく、必要な情報提供をして説明をしていく」と説明しましたが、野田議員は「透明性が重要であり、取材を遮断することは国民に対する説明責任を果たしていないということだ」と断じました。