2019年10月7日
北海道名寄市内で訪問の目的、今国会でただすこと、大島議長発言、あいちトリエンナーレなどについて発言 枝野代表
枝野幸男代表は6日、訪問先の北海道名寄市内で記者団の取材に応じ、(1)訪問の目的、(2)今国会でただすこと(3)先日の大島議長発言、(4)憲法審査会とあいちトリエンナーレ――などについて発言しました。記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。
Q.昨日は稚内、今日は音威子府から名寄まで来られましたが、今回訪問の目的は
一次産業が基幹になっている地域ですし、過疎化、JRの問題をはじめとして日本の中でも一番凝縮されて影響受けている地域だと思いますので、そうしたところの実情や、現場の皆さんの声を聞かせていただきたいという思いで参りました。
Q.実際現場を見て、どんな感想を持たれたか
水産業や酪農、あるいは音威子府は人口の少ない村ですが、それぞれ工夫をして、この厳しい状況を乗り越える明るい要素を抱えていらっしゃる(ことを知ることができた)という意味では良かった。ただ、揃って皆さん同じ思いなのは、この間の(日米)通商交渉等の影響を含めて将来に対する見通しを、しっかりと立てられるようにして欲しいと。それがあれば厳しい中で乗り越えていけるのではないかと。したがって特に一次産業や人口減少地域、JR北海道に対する中長期的な支援のあり方、こうした少し長い目で見て将来に対する見通しを立てられるような政治がいま欠けているのではないか。ここをしっかりとやっていきたい。
Q.実際に今日、JRをご覧になり、実情を目の当たりされてどのように感じられたか
料金収入やそうした形での営業という意味では大変厳しい状況があるというのはあらためて実感しました。一方で地域にとっては鉄道がある、鉄路があるということがベースのインフラということで、これから特に環境の問題などを考えると鉄道は比較的環境に対する負荷が小さな、特に物流になどにおいては、輸送手段ですので、間違いなく再評価、見直しがされていく時代ですので、しっかりと政治の力で支えて行かなければならないと言う思いを強くしました。
Q.臨時国会が始まり月曜から本格的な国会論戦が始まります。代表も代表質問に立ちますが、あらためて今回の臨時国会で政府に問いただしていきたい点はどのようなところか
政府にというか、国会の行政監視の役割として、1つは関西電力の大変大きな問題について、まったく実態が明らかになっていない。公的な役割を持った企業であるにも関わらず、(昨日の野党の視察など)事前にお伝えをしてお願いをした国会議員の場にも出てこられないという大変ふざけた状況でありますので、ここは厳しくやっていきたい。それから、あいちトリエンナーレに対する補助金の問題とNHK経営委員会による圧力の問題、これは表現の自由、報道の自由という民主主義の基幹に関わる問題でありますので、政府をというよりもこうした実態を明らかにして改めさせていく。これは議会の大事な役割だと思っていますので、しっかりやっていきたい。
Q.今回の視察の関係で、先程酪農の方々から一部通商交渉を受けた不安などの声もあったとお聞きになったたと思う。その一方で自民党の稲田幹事長代行がNHKのテレビ番組で、今回の日米通商交渉は大きな成果だったと評価をしていますが、あらためて今国会で日米通商交渉等、政府の取り組みについてどのようにただしていくつもりでしょうか
何をもって大きな成果とおっしゃているのかは意味不明です。農業分野、一次産業分野で譲ったのは間違いない。一方で自動車で取れていないは、私も経済産業大臣をさせていただいた経験からいっても、自動車では取れなかった。理不尽なことをやるのを食い止めたというのをあえて成果と言っているとすれば、そのことのために一次産業を譲っているのは、成果とはとても言えないと思っています。
同時に、一次産業で影響が出るような譲歩をしたのは間違いないわけですから、にも関わらず、その全体像がまだわれわれも知らされていないし、全体像が明らかになっていない。それに対してどうやって一次産業を守っていくのかということについて、まったく示されていない。これは当事者や関係者のみなさんが大変不安に思うのは当然だと思いますので、抽象的に「取った、取った」ではなくて、譲った部分について、どう国内対策を打っていくのかをしっかりと示していただかなければならない。
Q.憲法審査会の議論に関連して、衆院の大島議長が昨日の講演で国民投票法の改正案について、この臨時国会で与野党で話し合って素案を出してほしいといった発言をされました。さらにその上で、与野党から相談があれば、いろいろなことをお話する機会があるかもしれないと議長裁定の可能性についても言及されましたが、議長の発言に対して受け止めを
ちょっと信じがたい発言です。現場で幹事間で進め方についていろいろ議論をしてきていますし、われわれはむしろ積極的に議論をしようということも通常国会で言ってきたという状況の中で、中立的な立場で全体の舵取りをするべき議長が、そうしたものをすっ飛ばして、自分の意見というか、そのことを申し上げるというのはちょっと議長として考えられないと思っています。大島議長は大変見識ある方だと長年お付き合いをさせていただいて思っておりましたので、どこに忖度をされているのか、どこから圧力がかかっているのか、それともどこか変な首相官邸からの悪い影響を受けて何か判断を誤ってられるのか、ちょっと考えがたい発言です。
Q.憲法審査会に関連して、今日のNHKのテレビ番組で福山幹事長がトリエンナーレのことについて、憲法21条を侵害する問題であって憲法審査会でも議論が必要だという話をされていました。それに対して自民党の稲田さんは今回の件は補助金の要件の問題であって個別の問題だという見解を示しました。それに関しての代表の受け止めを
稲田さんが憲法を何も分かっていないということをご自身でお認めになった発言だと思います。憲法の表現の自由はもちろん直接的に公権力が介入することも禁じていますが、同時に表現・報道の自由の趣旨というのは、忖度や萎縮効果も含めて表現の自由を守らなければならないと。明らかにあいちトリエンナーレの問題は表現の自由に対する萎縮効果をもたらすとわれわれは問題視しています。それにも関わらず個別、補助金の問題だと言っているのは憲法を分かっていない。憲法を分かっていない方は憲法に口を出さないでほしいと思います。
Q.今回、北海道の視察でしたが、地方視察を積極的にされていますが、あらためて地方視察の意義と、今後地方視察する際に代表のなかで重視したい場所やテーマなどがあれば
全国の仲間から現場の声は当然聞かせていただいていますが、現地に行かせていただく、現場の当事者の皆さんから直接話を聞かせていただくことをすると、仲間から国会に持ってきていただいているさまざまな声や実情が、抽象的にいうと立体化されるというか、非常に分かりやすく自分の中でも咀嚼できるので、大変重要な機会だと思っています。是非今後も続けて行きたいですが、現地でご準備いただくのに、北海道は幸いにもたくさんの仲間がいますので受け入れについての準備をいろいろしていただけているのですが、むしろ弱いところにできるだけ足を運ぶことも同時に進めていきたい。西日本のほうが全体的にわれわれの仲間が少なくて弱いので、西日本の過疎地域、離島、そうしたところに伺えればいいと思っています。
Q.共同通信のこの週末の世論調査で安倍政権下での憲法改正について、賛成が約4割弱、反対が約5割弱だったということですが、これに関しての受け止めを
個別の世論調査についてはコメントしません、いろいろ聞き方とかあり、それによって変わってきますので。ただ少なくとも、例えば社会保障の充実であるとか、暮らし・経済の問題よりも憲法の議論のほうが優先だと思われている方は圧倒的に少数だというのは自信を持って認識しています。
Q.代表選規則について現在検討委員会で菅直人委員長のもとで議論が進んでいると思いますが、今後の検討について期待するところがあれば
一種、まな板の上の鯉なので、早く結論を出していただきたいということだけ最初に申し上げていますので、あとはお任せしております。