読むりっけん

2020年4月20日

外出自粛で子育て層にのしかかる負担と不安──新型コロナ対応が浮き彫りにする「保育・教育の格差と軽視」にどう向き合うか

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新型コロナウイルス感染拡大の影響を最も大きく受けている現場のひとつが、保育や教育分野、またそこに関わる親たちだ。4月7日の緊急事態宣言により、東京都内の多くの学校では休校を延長した。だがすでにその1カ月以上前、2月末に突然の休校要請があってから、多くの子どもたちが2カ月近い長期にわたって在宅で過ごし、親たちはその対応に追われている。

この間、東京都内で自身も子育て中の立憲民主党の区・市議会議員が、子育て層へのヒアリングを重ね、課題をまとめ上げてきた。その結果を4月17日、枝野幸男代表と党子ども・子育てプロジェクトチーム事務局長の早稲田ゆき衆議院議員が、オンラインでヒアリング。区・市議会議員だけでなく、出産を間近に控えたご夫婦、保育園運営者にも参加してもらい、現場の声を聞いた。

浮き彫りになったのは、今回のコロナ感染拡大により、一人ひとりの親に負担のしわ寄せがきている現状だ。行政からの支援に地域差がある認可外保育所、地方自治体任せにされてきたオンライン教育など、従来からあった様々な問題が、コロナ感染拡大によってますます表面化してきている。

※ヒアリング企画議員:中央区議会議員高橋まきこ、世田谷区議会議員中山みずほ、江東区議会議員酒井なつみ、中野区議会議員河合りな、昭島市議会議員ゆざまさ子


1日も登園していないのに保育料月額20万円を払う双子家庭──なぜ認可と認可外でここまで対応が違うのか


まずは、保育現場の現状が区議、市議から共有された。東京都では、自治体によっては認可保育所を原則休園としており、登園しなかった分の保育料は行政が補償して減免する制度がある。一方、認可外保育所に対しては、そうした措置が取られていない自治体がほとんどだ。

中央区の高橋区議によると、認可保育所の待機児童になっていて双子の1歳児を認可外に預けている家庭では、自粛して1日も登園していないにもかかわらず保育料の月額20万円を支払っており、経済的にも体力的にも限界を感じているという。

今回ヒアリングに参加した企業主導型保育園(認可外)運営者からは「政策の違いに事業者も振り回されている」と語った。

「認可の保育料減免は行政負担なのに、企業主導型保育園は運営費の補助に留まり、減額した場合の保育料補償はありません。国からは『保育園は原則開園してほしい』という方針がきているのに、です。

保護者の皆さんが、登園を自粛しているのに保育料を取られることに戸惑う気持ち、認可との格差に憤る気持ちはよくわかりますし、わたしたちも心苦しく思っています。でも、行政による保育料の減免補償がない中で、もともと決して高くない保育士や職員の給料をこれ以上削るわけにはいきません。

さらに、認可の場合は消毒液やマスクなど感染拡大を防止するための備品購入に助成がつきますが、企業主導型保育園にはつきません。この経費もかさんでいます。このうえ、万が一感染者が出てしまった場合は園内を隅々まで消毒する必要がありますが、その費用も事業者が負担しろと言われています。さまざまな葛藤やリスクを抱えながら開園しなければならないことに頭を悩ませています。

ただし、わたしたち事業者や保護者の皆さんがバラバラな方針に振り回されるのは今に始まったことではありません。社会が保育を軽視してきたことが、コロナによって浮き彫りになっていると感じています」


休校中の学習、どうしたらいい? オンライン学習導入の地域間格差が保護者の不安を加速する


全国で休校が広がる中、子どもの学習に対する不安も数多く寄せられている。オンライン授業を取り入れている自治体や私立校、塾などに通える子どもは学習が進むが、そうした環境が整っていない地域の児童が取り残されている。

特に、低学年の場合はまだ「机に向かい自習する」という学習態度が身についていない場合が多く大人のサポートが必要だが、休業になっていない共働きの世帯や多子世帯などでは子どものそばにずっとついていることは難しい。休校期間が長引くほど、学力格差や生活リズムの乱れが進んでいくと見られている。

中野区・河合区議「宮城県や熊本市、東京都文京区では、オンライン学習の導入を始めています。それ自体は素晴らしい取り組みですが、子どもたちには平等に教育を受ける権利があります。住んでいる地域によって格差が出ないよう、国としてオンライン学習環境が各自治体で実施されるところまで導いていく必要があると考えます」


妊娠後期に自転車通勤、出産後は親のサポートも得られない。産前産後の母親と子どもを守る施策を


4人目の子どもを妊娠中の共働きのご夫婦からは、ご自身の体験と不安を共有していただいた。

「リモートワークができない職種で代わりの人材もいなかったため、妊娠8カ月のお腹を抱えて自転車通勤をつい先日まで1カ月間続けました。満員電車で感染するリスクを減らしたかったからです。結局、予定より2週間早く産休に入りましたが、その途端お腹の張りが解消し、心身共に強いストレスを感じていたんだな、と実感しました」

厚労省は4月に入ってから妊婦が休みやすい環境の整備を企業に要請しているが、事態は改善していない。妊婦と子どもの生命を守るためには、妊娠している社員の出勤停止を企業に要望するなど、より踏み込んだ対応が必要だ。

「出産後は親に手伝いに来てもらうこともできません。大人2人で新生児を含めた幼児4人を見なければいけないので、不安です」

里帰り出産や立ち会い分娩、入院中の面会なども制限され、多くの妊婦は平常時とは異なる環境で出産をしなければいけないことに戸惑いを感じている。退院後も、配偶者が通勤せざるを得なければ、感染への不安を常に抱えながら新生児と接することになる。

本来はきめ細やかなメンタルケアが必要な状況だが、保健師は新型コロナウイルス対応に追われており、通常業務にまで手が回っていないのが現状だ。感染を恐れ、保健師による新生児訪問を断る家庭も少なくない。産後うつや虐待の兆候をどうやって捉えて対応するか、どう未然に防ぐかが喫緊の課題となっている。

江東区・酒井区議「保健師の人手不足という点に関しては、地域の助産師会や産後ドゥーラ(※1)など民間の専門家に協力を仰ぐのはいかがでしょうか」

中央区・高橋区議「アウトリーチ(※2)に関しては、自宅訪問や面会が難しい分、オンライン相談、電話相談、LINE相談など、さまざまなアプローチを試みることが重要だと考えます。手段の多様化は、外出自粛によって増加しているDVへの対応や孤立しがちなシングルマザーへの対応にも活きるはずです 」

(※1)産前産後の女性の心身をサポートするため、育児や家事をサポートする人材。
(※2)自発的にSOSを出さない当事者に対し、行政や支援機関が積極的に働きかけて支援を実現すること。


生活者の視点に立った新型コロナ対策を訴えていく


現場からの切実な訴えを聞き、枝野代表と早稲田議員は「平常時から社会が抱えていた矛盾や歪みが如実に現れている」と話した。

枝野代表「まず、企業主導型保育園で消毒費用などが事業者負担となっていることを初めて知り、驚きました。不勉強をお詫びします。この緊急事態において、補償にここまで差が出てしまうのはあってはならないこと。強く政府に改善を要望したいと思います。

また、妊娠中や小さなお子さんを抱えた世帯が感染リスクのある通勤をしなくていいように、企業側へ強く働きかけなければいけません。経済界への働きかけは自民党が不得意とすることなので、立憲民主党が主導していきます。

オンライン授業に関しては、国が地方任せにしたことのツケが回ってきたのだと考えています。わたしも中学生の双子がいるので決して他人事ではありません。各自治体の議員と共に先行事例を確認・共有し、国として取り組めるように、党の方針を打ち出していきます」

早稲田衆院議員「今のお母さんたちは、本当に大変な中で忍耐強く頑張っていらっしゃいます。生活者の皆さんの視点に立った働きかけをしなければいけないと、思いを新たにしました。新型コロナ対応により本来の業務に取り組めていない保健師たちをサポートするための人材支援や制度・予算の整備など、一つずつ改善していきます。

文科省は、学校が再開した際、休校期間に授業が遅れた分をやり直さなくてもいいという方針を出しています。自宅や塾での学習、オンライン学習が受けられなかった子どもたちを置き去りにする考え方です。これは絶対に改めなければいけません。子どもたちが公平に教育を受けられるよう、強く訴えていきたいと思います」

今回参加していただいた当事者からは、「政府の場当たり的な対応や発言には、子育て世帯に対する想像力の欠如を感じてきました。陳情することで『文句ばかり言っている、補償ばかり求めている』と責められることもありますが、子どもたちを守るために、声を上げつづけなければと思っています」と、政策に現場の意見を反映させてほしいと期待の声をいただいた。

政府は4月16日、緊急事態宣言の対象地域を全国に拡大した。地域間で保育、教育の格差が広がらないよう、また親の負担ができる限り小さくなるようますます国の政策が重要となっている。立憲民主党は今後もオンラインを通じて、市民の声を直接集めていく。


※オンラインでのヒアリング時に区議、市議から枝野代表と早稲田衆院議員に、国としての取り組みを求める要望書を提出した。

20200417_コロナ要望書_都連母親議員@2x.jpg
<追記>※この4月20日のヒアリングも受けて、党の子ども・子育てプロジェクトチーム4月24日、要望「コロナウイルス緊急対策には子どもの未来を守る目配りを」を厚労省と文科省の担当者に手渡し、意見交換した。

▼要望書はこちら
20200423子ども・子育てPTコロナ対策要望.jpg

 

<追記>
このヒアリングを受けて、早稲田夕季衆院議員が5月11日に「認可外保育所等の登園自粛・臨時休園に伴う保育料減免への支援の必要性」について質問主意書で要望。
5月12日、認可施設だけでなく企業主導型保育所でも、臨時休園などによる保育料の減額分が助成対象となった。
https://www.kigyounaihoiku.jp/info/20200512-01

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