2020年9月15日の結党大会をへて、
新しい立憲民主党へと生まれ変わりました。
新しい立憲民主党のサイトはこちらからご覧ください。

https://cdp-japan.jp/

9月15日、ここからが新しいスタート

ニュース

2019年10月8日

【参院本会議】長浜参院議員会長、安倍総理の所信表明に対し代表質問

このエントリーをはてなブックマークに追加

 参院本会議で8日、安倍総理の所信表明演説に対する代表質問が行われました。立憲・国民.新緑風会・社民を代表して質問に立った、参院議員会長の長浜博行議員は(1)災害対策(2)外交・安全保障(3)環境問題(4)経済・財政・金融政策(5)働き方改革(6)共生社会(7)ジェンダー平等(8)皇位継承・恩赦――等について取り上げ、安倍総理の見解をただしました。

 環境問題について長浜議員は、「次世代を担う若者に、より良い環境を引き継いでいくことは現世代の責務。温暖化への危機感、温暖化対策の重要性を認識するのであれば、日程を最優先して、総理の認識を示すべきだったのではないか」と述べ、安倍倍総理が気候行動サミットを欠席したことを問題視。安倍総理の気候変動問題に対する認識を問うとともに、日本は国際的な潮流から遅れているとして、カーボンプライシングの導入など具体的な対策を早期に講じるよう求めました。

 これに対し安倍総理は、「気候行動サミットは宮中行事のため出席が叶わなかったが、わが国はパリ協定に基づき本年6月に策定した長期戦略において今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現することを目指す旨公表している」「わが国は長期戦略に基づきイノベーションに光を当て環境と成長の好循環を加速し、気候変動対策を推進し、世界の脱炭素化をけん引していく」などと具体性のない答弁に終始しました。

 長浜議員の質問の全文は以下のとおりです。


2019年10月8日

総理所信に対する代表質問

立憲・国民.新緑風会・社民 長浜博行

 立憲・国民.新緑風会・社民の長浜博行です。会派を代表して、安倍総理の所信について質問いたします。
 今年も夏から秋にかけて度重なる台風や集中豪雨等により各地に大きな被害が生じました。質問に先立ち、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。被災地が一日も早く復興することができますよう、私どもとしても全力で支援に取り組んでいく所存であります。

災害対策

 まずは、千葉県を中心として広範囲に被害が生じた台風第15号について、千葉県民の一人として政府の初動対応の遅れについてお伺いします。
 台風第15号は、9月8日にかけて伊豆諸島付近を、9日朝にかけて関東地方を襲いましたが、千葉市で毎秒57.5メートルの最大瞬間風速を記録するなど場所によっては観測史上最大となりました。この暴風によって、各地で約2,000本もの電柱が倒れました。このため、千葉県内では、広域にわたる停電により、通信網が遮断され、地方自治体は軒並み混乱に陥り、被害状況の把握もままならない事態が続きました。さらに、停電の解消までに2週間以上を要する事態となり、多くの被災者が電気も水道も電話も使えない不自由きわまりない生活を余儀なくされました。
 その際の政府の初動対応について、菅官房長官が、初閣議後の記者会見で、台風第15号について一切触れていないことからも明らかですが、新内閣は、11日の組閣の対応に忙殺され、全て官僚任せで後手に回っていたと断ぜざるを得ません。全閣僚出席の閣僚懇談会についても、第1回目は13日であり、台風の通過から4、5日も経過しています。そこでお伺いします。閉会中に開会された衆参の災害対策特別委員会において、政府の判断として、非常災害対策本部や関係閣僚会議を設置・開催しなかったと答弁していますが、新旧大臣間における台風第15号に係る災害対策の引継ぎについて時間や余裕がなかったために、これらが設置・開催されなかったのではないですか。そのため、官僚任せの関係省庁災害警戒会議や関係省庁災害対策会議の開催を政府一体の対応としてことさら強調しているのではないですか。内閣改造と災害への対応とこの場面でどちらが国家にとって重要事であったと判断されているのか、総理の見解を伺います。
 また、政府、千葉県、各市町村と東京電力の間の連絡はどのように行われたのでしょうか。特に、東京電力の復旧見通しが2度も修正されることとなりましたが、政府としても、確認、チェックする必要があったと思います。今回の見通しの甘さについては、単に検証するだけでなく、国として電力事業者が迅速かつ正確に公表できるような態勢作りを早急に行っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。政府の答弁を求めます。
 次に、台風第15号の復旧に係る今後の政府の対応についてお伺いします。今回は、一部損壊住宅への修理費に対して地方自治体が被災者に交付する補助金に対し、特例的に防災・安全交付金と特別交付税により財政支援すると伺っております。先日の本院の災害対策特別委員会において、武田大臣は一部損壊等に係る地方自治体への財政支援について、各種制度の柔軟な適用に努めると述べられましたが、そもそも現在の損害基準は現実の被災状況の分類として適切なのでしょうか。今後同様の災害が生ずることを想定して新たに基準を見直し恒久的な支援措置を制度化することもお考えでしょうか、総理の見解を伺います。加えて、送電線をはじめ老朽化したインフラへの対策、そして間伐も行われず溝腐病等におかされるなど手入れの行き届かない森林をどうするのか、先月末に各自治体に初めて配分された森林環境譲与税との関連を含めてご答弁願います。

外交/安全保障

 以下、内政・外交等の個別の課題についてご質問してまいりますが、時間の制約上、昨日の衆院での枝野代議士との重複をなるべく避けて行います。
外交・安全保障問題に目を転じますと、安倍政権の重視する外交課題は八方塞がりの状態です。ロシアとの北方領土返還交渉や北朝鮮による日本人拉致問題はいずれも進展が見られず、日韓関係は最悪の状況に陥り、米国との貿易交渉では一方的な譲歩を行ったようにも見受けられます。
まず、中東情勢についてお伺いします。9月14日、サウジアラビアの石油施設が攻撃を受け、石油の生産が一時止まるという事態が発生しました。イギリス、ドイツ、フランスの各首脳はこれをイランの責任とする声明を発表していますが、声明について政府の認識を伺います。
 また、米国が提唱しているホルムズ海峡における有志連合構想(海洋安全保障イニシアティブ)について伺います。まず、政府として中東・ホルムズ海峡の現状についてどのような認識なのか、総理の答弁を求めます。
 また、現行法上、自衛隊は有志連合に参加できるのでしょうか。あるいは新たな法整備が必要となるのでしょうか。総理の答弁を求めます。
 次に、日露関係についてお伺いします。昨年11月、総理はロシアのプーチン大統領との会談において、1956年の日ソ共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意いたしました。その後、総理も河野前外務大臣も、「北方領土は日本固有の領土である」との我が国の基本的立場を公の場で発言することを封印してしまいましたが、肝心の領土交渉での進展の道筋は全く見えておりません。総理は、プーチン大統領との個人的な関係を過度に重視し、ロシア側の出方を見誤ったのではないですか。領土交渉で何ら進展がないままに、北方領土に対する我が国の主張の基本ラインを大きく後退させてしまった総理の対ロシア外交は、稚拙のそしりを免れないと考えますが、総理の認識を伺います。
 次に、北朝鮮の核・ミサイル問題と今後の日朝交渉の方針についてお伺いいたします。この問題については、米朝プロセスを中心に北朝鮮の非核化を実現するための交渉が進められています。この間、北朝鮮は、短距離弾道ミサイル等を日本海に向け繰り返し発射しており、このような挑発行為は我が国にとって直接的な脅威であり、かつ、地域の安全保障環境を不安定にするものとして看過できません。しかも、10月2日には、北朝鮮が発射した弾道ミサイルが、日本海の我が国排他的経済水域(EEZ)内に落下しました。その際、自衛隊のイージス艦は日本海に一隻も展開していなかったとの報道がありますが、我が国政府として、北朝鮮の弾道ミサイルの発射探知、追尾などは万全であったと言い切れるかどうか、総理の明確な答弁を求めます。
 また昨日、水産庁は会見で、漁業取締船「おおくに」が大和堆において北朝鮮の漁船と衝突したと説明しています。最近の大和堆周辺水域における漁業取締方針と、今回の衝突事案に関する事実関係の詳細について、政府に伺います。
 さらに、日朝間における最大の懸案事項である拉致問題は、全く進展を見せていません。総理は「金正恩委員長と条件を付けずに向き合わなければならない」との考えを表明していますが、金正恩委員長は米国、韓国、中国、ロシアの各国と首脳会談を開催しており、日本だけが取り残されているのが現実です。安倍外交はこれまでどのような成果を得たのでしょうか。そして、今後、どのように対北朝鮮外交を進めるつもりなのでしょうか、拉致被害者問題も含めて総理の見解を伺います。
 アフリカ外交についてお伺いします。8月末に横浜で第7回アフリカ開発会議(TICAD7)が開催されました。1993年にスタートしたこの会議は諸外国に先駆けてアフリカの成長を目ざしたものですが、現在までの成果をどのように評価されていますか。アフリカに対する直接投資残高及び年間輸出額でも日本は10位以内に入ってないのではないですか。お答えください。
 また、我が国として、国連加盟国の約4分の1を占めるアフリカ諸国との関係を今後どのように構築していこうとされていますか。総理はアフリカ各国に対する日本からの民間投資を拡充させたいと発言されていますが、ODAとの連携も含め、どのような戦略をお持ちか、そして中国の対アフリカ外交・戦略をどのように認識しているかも合わせて総理の所見を伺います。

環境問題

 地球環境問題についてお伺いします。先月、スウェーデンの16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんが、国連本部で開催された気候行動サミットで演説し、「若者世代を裏切るような選択をするならば、絶対に許さない」と各国の指導者らに温暖化対策の実行を迫りました。次代を担う若者に、より良い環境を引き継いでいくことは現世代の責務であります。
 グテーレス国連事務総長は、温暖化が進む現状を「気候非常事態」ととらえ、2050年までの温室効果ガスの実質排出ゼロなどを各国に求めており、サミットでは、65か国がその求めに応じたとのことです。
 このように各国の対策が加速する一方、総理はこの会議に参加しませんでした。温暖化への危機感、温暖化対策の重要性を認識するのであれば、日程を最優先して、総理の認識を示すべきだったのではないですか。総理の気候変動問題に対する認識、及び気候行動サミットを欠席した理由・経緯について総理の説明を求めます。
 次に、我が国の温室効果ガス削減のための対策についてお伺いします。
 我が国は長期戦略の目標が大きく見劣りするだけではありません。ESG投資の流れもあり、国際的にダイベストメントが広がり、特に石炭火力の削減が強く求められているにもかかわらず、政府は、環境アセスメントなど既存の政策の寄せ集めで何とかしのごうという姿勢です。また、世界の潮流となっているカーボンプライシングについては、ヨーロッパ諸国はもちろんですが、中国も段階的な導入を開始しています。我が国は、何度も政府部内で同じような検討を繰り返すばかりで、いつになったら導入は実現するのでしょうか。低炭素化、それに続くカーボンニュートラルの実現のためには、イノベーションに過剰な期待をするのではなく、カーボンプライシングなどの具体的な対策の早期の導入が必要と考えますが、総理の認識を伺います。
 次に、廃プラスチック問題についてお伺いします。6月に大阪で開催されたG20サミットでは、海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が合意されました。これについては、主要国が共同して海洋プラスチック問題の解決を目指す第一歩として評価する声がある一方で、30年先という目標設定では遅すぎること、プラスチックの使用削減について触れていないこと、法的拘束力のある国際的枠組みではないことなどから不十分との批判もあります。この合意内容で果たして十分な効果を上げることができるのでしょうか、総理の見解を伺います。
 我が国の廃プラスチック処理は、欧州ではリサイクルに位置付けられていない焼却処理による熱回収の割合が高いことが指摘されています。これは循環型社会形成推進基本法に定める3Rの優先順位と異なっており、地球温暖化対策の観点からも問題といえます。また、これまで我が国は廃プラスチックの一部を輸出してきましたが、中国等の輸入規制、バーゼル条約における規制強化などにより、国内の廃プラスチック処理がひっ迫し、熱回収優先から脱却できないことも懸念されます。我が国は環境先進国として、過剰に使われているプラスチックの使用抑制や代替製品の利用を促進することでプラスチックに依存した社会からの脱却を目指すべきと考えますが、総理の見解を伺います。

内政/経済/消費税/金融

 次に、財政・金融に関してお伺いします。
 アベノミクスの失敗により財政健全化も後退しております。非現実的な高い成長率を想定してもなお目標の達成は困難と見込まれており、また100兆円超の予算規模が既成事実化する中、政権が本気で財政健全化に取り組むのであるならば、堅実な具体策を提示するべきではないですか。総理の見解を求めます。
 アメリカではFRBが2会合連続で政策金利の利下げを決定し、欧州ではECBが量的緩和の再開を表明しました。こうした中、日銀が金融政策方針を現状維持としたことへの評価について、政府の見解を伺います。
 米中貿易摩擦の影響により海外経済は減速し、下振れリスクが高まっている中、安倍政権は消費増税を断行しました。今後、消費が大きく落ち込むことが危惧されます。日銀は、物価安定目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれが高まる場合、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じるとしています。増税後の内需の状況次第では更なる追加緩和を行うべきであるとお考えでしょうか、総理の認識を伺います。
 一方、普通国債発行残高に占める日銀の保有割合が5割を占めるなど、日銀の資産買入れは限界に達しつつあります。また、銀行業界からは、マイナス金利の深掘りに対し、企業の投資活動に与える効果を疑問視する声が上がっています。日銀による追加緩和の余地、有効性について、総理の見解を伺います。
 大規模な金融緩和により様々な副作用が現れております。貸出金利の低下により銀行の収益は圧迫され、特に、体力の弱い地方銀行は経営が苦しく、スルガ銀行等が不正融資に走る一因になったとの指摘があります。また、約6割の地方銀行が10年後の2028年度に最終赤字になるという日銀の試算もあります。地域金融の現状に対する総理の認識、健全な地域金融に向けた課題について、政府の見解を伺います。
 2年連続で基準地価が上昇しております。超低金利による資金調達コストの低下等を背景に内外の投資マネーが国内投資を過熱しているとの見方があります。基準地価の上昇要因や地域間格差に関する総理の見解を伺います。
 また、人気観光地等における外資による不動産取得の動きを警戒する指摘もあります。こうした海外マネーの流入に対する総理の所見を伺います。
 さらに、銀行による不動産向け融資が過熱状態にあり、貸出残高もバブル期を超え最高水準となっています。これは実需によるものでしょうか。それとも投機によるものでしょうか。総理の認識を伺います。

働き方改革

 次に、同一価値労働同一賃金の実現に向けた取組についてお伺いします。
 昨年6月、働き方改革関連法が成立し、来年4月から正規・非正規といった雇用形態による不合理な待遇差を禁止する改正規定が適用されることとなります。しかしながら、企業の準備は必ずしも整っていると言えない状況にあり、制度の周知もまだ不十分な状況にあるのではないでしょうか。政府は、施行日を前に、どのような対策と周知を図っていくのでしょうか。その進捗状況及び把握状況について政府の説明を求めます。
 パワーハラスメント対策については、先の通常国会において、企業に対して措置義務を課す改正労働施策総合推進法が成立しました。しかし、ハラスメント行為そのものの禁止規定がない点や、当事者・被害者の範囲が限定的である点で不十分な内容であると言わざるをえません。私どもは野党共同で、セクハラ行為自体を禁止する対案や社外からのパワハラも規制する対案を提出しましたが、与党の賛同を得ることができませんでした。しかし、本年6月には、ILO総会において「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約が採択され、日本政府も賛成票を投じました。今後は、条約の批准に向けた更なる国内法の整備に早急に取り組む必要がありますが、その検討状況について政府に説明を求めます。
 また、今もハラスメントに苦しむ労働者の方々がいる現状を踏まえ、日本の企業の99%は中小企業ともいわれる中で、大企業・中小企業に関係なく早期に法律を施行する必要があるとの指摘もありますが、政府の見解を伺います。
 次に、女性と就職氷河期世代に対する就労支援についてお伺いします。近年女性の就業者数は約3,000万人となり、今や女性の労働参画は我が国の成長を支える重要な柱であります。総理はしばしばアベノミクスの成果として就業者数が増えていることを強調されますが、女性についてその雇用形態を見ると就業者の55%がパート、アルバイトなど不安定な非正規雇用です。また、出産を契機に離職する割合は50%近くと依然として高い状況にあります。さらに、賃金など構造的な男女間格差が未だに存在する中、その是正に向けた政府の取組もまだまだ不十分です。働く意欲のある女性のキャリア形成やキャリア継続のため、従来の施策を検証した上でより実効性のある就労支援を図る必要があると考えますが、総理の見解を伺います。
 就職氷河期世代に対しては、政府は「骨太の方針2019」において、非正規雇用者や長期無業者など100万人に対して3年間の集中的な支援を行い、正規雇用者を30万人増やすことを目指すとしております。しかしその内容は総花的で、各省の従来からの施策の延長線という感が否めません。30万人の正規雇用化の根拠とその実行可能性、その後のフォローアップなどどのように考えているのか総理の見解を伺います。

共生社会

 「みんなちがって、みんないい」新しい時代の日本に求められるのは、多様性であります。みんなが横並び、画一的な社会システムの在り方を、根本から見直していく必要があります。多様性を認め合い、全ての人がその個性を活かすことができる。そうした社会を創ることで、少子高齢化という大きな壁も、必ずや克服できるはずです。
 私の言葉ではありません。4日にこの議場で行われた「第200回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説」の中の一節です。感激しました。やっと気づいてくださったのか。しかしいくら吠えても張り子の虎(すなわち中身が何もない)では、演説を聴かれた国民は失望してしまいます。不言実行、有言更なりであります。ここからが私の質問です。
 来年の東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、ユニバーサルデザインの街づくりや「心のバリアフリー」の取組が行われていますが、価値観やライフスタイルの多様化が進んでいる現状からすれば、まだまだ不十分です。共生社会の実現のため、誰一人取り残さないという強いメッセージを政治の側が発信することが求められています。私どもは、誰もが個人として尊重される多様性ある社会を目指して、手話言語法案・情報コミュニケーション法案、LGBT差別解消法案等の法案を衆議院において共同提案しております。しかし、与党は一切審議に応じておりません。手話は、コミュニケーション手段であると同時に、日本語と同等の第一言語です。ろう者が手話言語を習得する機会を拡大し、手話文化の継承・発展を図る手話言語法案、そして、全ての視聴覚障害者等に対し、情報の取得やコミュニケーション手段についての選択の機会を確保・拡大していく情報コミュニケーション法案の制定が、今こそ求められていると考えます。総理の所見を伺います。
 民間の調査によりますと、日本ではLGBTなどの性的マイノリティに該当する方の割合が8%以上に達すると言われております。特に、いわゆる「SOGI(ソジ)ハラスメント」対策については、先の通常国会において女性活躍推進法等改正案に対する両院の附帯決議にも盛り込まれ、一定の前進が見られましたが、その進捗状況について政府の説明を求めます。
 さらに、性的指向や性自認にかかわらず、誰もが差別されることなく自由に生きる社会を実現するため、行政機関・事業者による不当な差別的取扱いの禁止やハラスメントの防止については、しっかりと法律で定める必要があると考えますが、総理の所見を伺います。

ジェンダー平等

 性別を問わずその個性と能力を十分に発揮することができるジェンダー平等社会を実現するため、野党会派共同で、選択的夫婦別姓法案や性暴力被害者支援法案等の法案を提案しておりますが、これまた与党は一切審議に応じておりません。特に選択的夫婦別姓については、本年7月に日本記者クラブで開かれた7党首討論会で、制度導入に賛成かとの質問に対し、ただ1人、自民党総裁である総理だけが手を挙げず、大きな話題となりました。
 国際社会の共通目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」は、ジェンダー平等の実現を掲げています。総理は、先の通常国会で「SDGsの達成に尽力し、SDGsの力強い担い手たる日本の姿を国際社会に対して示す」旨述べていました。にもかかわらず、選択的夫婦別姓の導入を求める国連の勧告は放置したままです。総理は、先月の国連本部の会合で、SDGsに関する実施指針を年内に改定し、新たな取組を示す方針を表明しましたが、その取組に選択的夫婦別姓を入れるつもりがあるか、また、婚姻後も姓を変えない権利を認めることこそが、SDGsが目指す誰一人取り残さない社会の実現につながるのではないでしょうか、総理の見解を伺います。

安定的な皇位継承をめぐる問題

 天皇陛下が5月1日に即位され、御即位に伴う式典が間近に迫ってまいりました。国民の一人としてお慶びを申し上げますとともに、今年3月の予算委員会でも同様の質疑をさせていただきましたが、いくつかの課題に対して政府の対応は遅きに失すると言わざるを得ません。
 まず、皇族、とりわけ男性皇族の減少に伴う問題です。平成29年の退位特例法の附帯決議では、安定的な皇位継承、女性宮家の創設等が、先延ばしにすることのできない重要な課題と位置付けられ、皇位継承後、政府は速やかに検討を行うこととされています。
 我々野党としても、この問題について党内論議を進めてきました。一方、これまで政府は、一連の式典に全力を尽くした上で対応する、との見解を示すにとどまっています。速やかに、本格的な検討を進めていくべきだと考えますが、今後の検討スケジュールについて答弁を求めます。
 また、象徴天皇の在り方を今後とも堅持し、安定的な皇位継承を確保していくためには、国民のコンセンサスを得ながら進めていくことが重要です。そのためには、国民の総意を探り、現実的な解決策を導き出すべく、国民の代表が集う場である国会において、真摯な議論を行うことこそが求められるのではないでしょうか。総理の見解を伺います。

恩赦

 次に、恩赦についてお伺いします。
 政府は、天皇陛下が即位を宣言される今月22日の「即位礼正殿の儀」に合わせて、恩赦を実施する方向で調整を行っていると報道されています。皇室の慶弔事に伴う恩赦としては、1993年6月の天皇皇后両陛下のご結婚以来、26年ぶりとなるそうですが、国民にはなじみのない制度です。
 そこで、まず、お伺いしますが、国民にはなじみのない「恩赦」という制度についての歴史的意義について、政府の説明を求めます。
 また、恩赦は、更生への励みになるという意見がある一方、三権分立の原則から、行政の権限で司法の判断を変えるのが適切なのか、という疑問も指摘されており、恩赦の実施について、どのように国民の理解を得るおつもりなのでしょうか、政府の答弁を求めます。
 加えて、今回の恩赦は、被害者への配慮や再犯防止推進の観点から、罰金刑を受けた人の資格制限などを回復する復権だけを対象に実施する方向で調整が進められているとも伺っておりますが、その過程では、公平性や透明性を確保し、国民への十分な説明が必要ではありませんか。今後、恩赦が実施される場合、その対象となる罪や刑の種類をどのように定め、どのような手続によって実施されることになるのか、政府の説明を求めます。

 最後に長期政権の弊害について申し上げなければなりません。森友学園への国有地売却問題、加計学園の獣医学部新設問題、毎月勤労統計の不正疑惑、金融庁審議会の報告書受け取り拒否事案、イージス・アショアの配備候補地への説明不手際など、政権のゆるみ、おごりは枚挙にいとまがありません。そして官僚の忖度が行政の中立・公平性をゆがめていると言われるような事態になってしまっています。また、憲法、法律、規則にのっとって要求する言論の府である国会、予算委員会の開催要求を無視するなど、その強権的体質は看過できません。「長きをもってよしとせず」というより「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する」というジョン・アクトンの言葉で本日の質問を閉じさせていただきます。

【参院本会議】総理所信に対する代表質問原稿案 長浜博行参院議員会長.pdf

20191008_100526_01_re.jpg
20191008_100954_01_re.jpg
20191008_101612_re.jpg