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2018年10月31日

【参院本会議】牧山議員、安倍総理に代表質問

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 参院本会議で31日、安倍総理の所信表明演説などに対する各党の代表質問が行われ、立憲民主党・民友会を代表して牧山ひろえ議員が質問に立ちました。質問全文は以下のとおりです。

 総理所信に対する代表質問 全文

立憲民主党・民友会  牧山ひろえ

【安倍政治の評価】 

 立憲民主党・民友会の牧山ひろえです。会派を代表して、総理の所信に対し質問いたします。

 安倍総理は、所信表明演説で、原敬の「常に民意の存するところを考察すべし」という言葉を引用しました。「国民の皆様と共に」という台詞も繰り返し述べられています。沖縄を始めとする地方の方々、LGBT、日本に働きに来る外国人、複雑で過酷な税制に苦しむ中小・零細企業。これらの方々は、総理の視野に入っているのでしょうか。第2次安倍政権の歩みは、政権与党を支持しない人の声には耳を傾けず、自らの考えに同調、忖度(そんたく)する身内で無理を通してきた歴史です。「独善」。所信表明とは裏腹に外交も含めた安倍政治の問題点の根幹はここにあると考えています。

 「政治とカネ」の問題を指摘される新任閣僚が相次いでいます。これも、内向き志向とまさに慢心が招いたものではないでしょうか。しかも、訴訟を口実に説明を拒むケースも出ています。所信表明で、森友や加計問題に触れなかった総理の姿勢と相通じるものを感じるのですが、総理は自らが任命した閣僚に対して、真摯(しんし)に国民への説明責任を果たすよう指導すべきではないですか。また、今後閣僚の行為の違法性が明確になった場合、自らの任命責任を果たす覚悟があるのでしょうか。

【杉田水脈議員寄稿問題】

 また自民党議員から看過できない発言がありました。杉田水脈議員のLGBTに関する寄稿に関する問題。この問題に関し安倍総理は「(杉田議員は)まだ若いですから、そういったことをしっかり注意しながら仕事していってもらいたい」などと述べ、擁護する姿勢を示しています。

 子どもを産むか否かで差別することは、若いから云々という話ではなく、憲法が尊重する基本的人権、自己決定権を否定する思想であり、見過ごせません。差別を禁じた憲法を遵守すべき国会議員が、差別との自覚をもてないまま、このような主張をし、しかも未だに寄稿文の撤回も謝罪も拒否しているというのは、国会議員の資質に関わる話なのではないですか。自民党総裁でもある、総理の見解を伺います。

【沖縄基地問題】

 沖縄の基地問題について、総理はこれまで「沖縄の皆様に寄り添う」旨、答弁してきているものの、沖縄県知事選、豊見城市長選、那覇市長選と、与党が推薦してきた候補が3回連続で敗れたという事実に照らしてみれば、政府の政策は結果として沖縄県民に全く寄り添えていないこととなるのではないでしょうか。これらの選挙結果を受け、沖縄の民意をどう評価しているのでしょうか。

 辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例が10月26日、沖縄県議会で成立しました。辺野古移設の是非のみを問う県民投票は、まさに民意が明確に示される機会となります。ここで示される民意を、政府は尊重するとお約束いただけますか。

 沖縄県による辺野古の公有水面埋立承認撤回に対し、防衛省は行政不服審査法に基づき国土交通大臣に対し審査請求及び撤回の執行停止申立てを行い、石井国土交通相は、それを認めました。行政不服審査法は国民の権利利益の簡易かつ迅速な救済を図ることを目的とするものであり、国が行政不服審査制度を用いて対抗手段を講じることは明らかに法を逸脱する制度の濫用にあたるのではないでしょうか。

 以上3点について総理の答弁を求めます。

 総じて政府は沖縄に対する接し方、政策の在り方を根本から改めなければならないのではないでしょうか。総理の「沖縄に寄り添う」という表明が嘘でないならば、名護市辺野古における普天間飛行場代替施設建設事業については、法的措置によるのではなく、対話を通じた解決を追求すること。沖縄県並びに沖縄県民が納得する結論・方針が確認されるまでの間、一切の工事を停止すべきであると考えますが、総理のご見解を伺います。

 沖縄を始めとする米軍基地に起因するさまざまな問題の根底には、日米地位協定の課題があります。沖縄県の調査によると、ドイツやイタリアは、米軍機の事故等を契機とした民意の高まりを背景に、1990年代に協定の改定や新たな協定の締結を行っています。現在は、受入国の国内法適用、基地の管理権、訓練・演習への受入国の関与、警察権等さまざまな面において、受入国の主権が、わが国のケースよりも強化される規定となっています。

 このような他国の事例があるのに、我が国の主権がより尊重される地位協定の改善を積極的に目指さないのは何故なのでしょうか。総理の見解を伺います。

 「日本を、取り戻す」と謳われるなら、地位協定の改定を明確に主張すべきです。

【消費税率引上】

<この時期の増税の是非>

 政府は、来年10月に、消費税率を10%に引き上げることを閣議決定しました。今この時期に、消費税率の引上げを決定することは、果たして正しい決断なのでしょうか。

 まず現在、景気回復の実感が社会の隅々まで行き渡らないのは、消費の低迷の影響が大きいと言えます。また、世界同時株安に見られるような「世界経済のリスク」の懸念は依然払拭されません。この状況の中で、消費税を上げるということは、景気に対する大きなダメージを与える公算が強いと考えています。喫緊の課題である財政健全化に必要な財源については、金融課税や法人課税の見直しなど取り組むべき方策は数多あります。

<複数税率>

 消費税引き上げに伴う具体策についてはより大きな疑問符がつきます。

 特に大きな問題は、政府が軽減税率と呼称する複数税率の導入です。 複数税率は逆進性対策として非効率である上、 軽減の分だけ税収減となり、負担を次世代に先送りしないという消費税アップの元々の趣旨が損なわれることになります。

 なにより、区分経理が必要となるので、事業者、とりわけ日本経済の基盤を支えている中小・零細企業に大きな事務負担を生じさせることになります。

 複数税率の導入に伴い、事業者に発生する事務コストはどの程度と想定されているのでしょうか。今回の税率アップ時と、適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)の導入時、それぞれについてお答え下さい。

 また、インボイス導入時、免税事業者の取引からの排除が生じるのではないかとの懸念に関しては、どのようにお答えになりますか。

 ここまで無理をして複数税率及びインボイスを導入しようとするのは、将来消費税率をさらにアップした上で、軽減される課税項目も税率の種類も増やしていくつもりなのではありませんか。

 これらの点について明確にお答え下さい。

 今回の方針によると、同じファストフード店を利用するにしても、店内で飲食する場合の消費税が10%であるのに対し、持ち帰りなら8%となります。持ち帰りと申告しながら店内で飲食するケースはないのでしょうか。消費者のみならず事業者も含めて、混乱を招く制度は導入すべきでないと考えますが、総理の見解を伺います。

<消費税引上げ反動減対策>

 総理は「消費税率引上げが経済に影響を及ぼさないよう、あらゆる施策を総動員」するとされていますが、消費税引き上げによる反動減対策として出てきたのが、「キャッシュレス決済をした消費者へのポイント還元」や「プレミアム商品券」です。

 キャッシュレス決済の導入には端末や手数料等の負担が生じます。また、現金決済に比較し資金ショートの危険性も高まります。これらについての中小企業の負担についてはどのようにお考えなのでしょうか。

 また、これら2つの消費刺激策の財政規模はどの程度と想定されていますか。所信表明には「財政再建」という言葉に一言も触れていませんが、将来への付け回しになる危険が大きいのではありませんか。

 税体系は「公平・中立・簡素」を基本原則とします。複数税率やポイント還元が「簡素」と言えますでしょうか。それとも、日本の税制は「簡素ではなくていい」とお考えなのでしょうか。

 以上3点について総理の見解を求めます。

 今回の消費税引上げについての諸施策は、あまりに不合理で天下の愚策としか言い様のないものです。

【外国人労働者受入拡大】

 政府は、単純労働分野での外国人の受入れにつながりかねない新しい在留資格を設けるとしています。ですが、制度の詳細は未だ明らかになっていません。なにしろ10月12日に開かれた外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で、出入国管理法などの改正案骨子が示されたばかりです。

 実質に移民政策への転換になりかねない重要な法案であり、臨時会の短い会期で拙速に成立させるのは、大きな問題があります。

 総理出席の下、慎重な審議を進めるべきと考えますが、総理及び与党総裁としての見解をお伺いします。

 そもそも、単純労働分野も含めた外国人労働者の受け入れを拡大するならば、「開かれた多文化・多民族共生国家」を目指す国民的コンセンサスを形成した上で、あらゆる社会インフラを構築し受け入れ体制を作る覚悟が必要です。その覚悟と準備がないままの受け入れは、将来に大きな禍根を残すことになります。

 にもかかわらず、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の最終とりまとめは、臨時会が終了するのと同時期の本年12月中と予定されているのです。この最も大事な受入れ・共生の対応策が固まらない内に、法案の是非を審議しろと立法府に求めるのはおかしいでしょう。これで実のある審議が出来ると総理はお考えなのでしょうか。

 以前から指摘されている技能実習制度のさまざまな根幹的な問題点、また、本来留学生として来日したにもかかわらず、実際は単純労働力となっている現実があります。

 外国人の受け入れ拡大を検討するならば、こうした今の制度の問題点を根本的に解決するための議論が必要だと考えますが、総理の見解をお伺いします。

 人手不足を解消した業種については受け入れを停止することになっていますが、不景気で人余りになった外国人労働者への対応については、どのようにお考えでしょうか。

 この期に及んでも総理は「事実上の移民政策」「単純労働力の受入れ」であることを否定します。建前と本音の乖離は大きくなり、そのツケは外国人労働者に廻されることになります。

【憲法改正】

  憲法の基本原理である基本的人権の中でも、表現の自由、そして国民の知る権利がその根幹をなす特に重要な人権であることは言うまでもありません。ですが、安倍政権においては、防衛省の南スーダンPKO日報やイラク日報のように、破棄していた、あるいは存在しないと国会に対して説明されていたものが1年後に「発見」されるようなずさんな公文書管理がなされました。また、加計学園の問題では、政権に不都合な情報を怪文書扱いしたり、森友学園への国有地処分を巡る事件において、決裁文書の改ざん等により国政調査権が蹂躙されるという、議会制民主主義の存立にもかかわる空前の事態が生じています。現行憲法の価値観を尊重しない内閣の長たる安倍総理に憲法を語る資格はありません。

 そもそも総理が提案する改憲4項目については、世論でも賛否が二分されるテーマです。国民を分断するようなテーマで、憲法改正に取り組むのが本当に正しいとお考えなのでしょうか。国会議員が先走るのではなく、国民の中から憲法改正をすべしとの声が高まり、機運が醸成されて初めて、憲法改正に取り組むべきです。立憲主義で憲法に縛られるべき行政府の長が、憲法改正を主張するのは、そもそもおかしいと考えますが、総理の見解をお伺いします。

 最後にわれわれは、総理の対極に立ち、国民の幅広い民意を本当の意味で尊重し、そして実現していく決意を表明させていただき、質問を終わらせていただきます。

以上

【参院本会議】2018年10月31日 牧山ひろえ議員質問原稿案(第197回臨時国会).pdf